もと大田区議会議員 岡高志です。
大田区職員による生活保護費横領事件がありました。それに対する区役所の対応があまりにもテンプレ的でかつ何か隠しているようだと批判しました。
大田区長も対応が不十分で納得が得られていないと考えたのか、
松原忠義区長も区長自身の給与をカットすることを決めました。
大田区長が部下の生活保護費横領の責任をとる?
具体的には下記の条例案を区議会に提出しています。
大田区長等の給料の特例に関する条例
大田区長等の給料等に関する条例第2条の規定にかかわらず、区長及び副区長の給料の額は、同条例別表1に掲げる区分に応じ、それぞれ同表に掲げる給料月額からその 100 分の 10 に相当する額を減じて得た額とする。
付則
1 この条例は、公布の日の属する月の翌月の初日から施行する。
2 この条例は、施行の日の属する月の末日限り、その効力を失う。
1か月だけ、月給の1割をカットする減給処分です。
最低限の処分でなかったことにする大田区長
自治体の首長の処分の相場は事例によると、給与10分の1カットを1〜6ヶ月。不祥事事案の重さ、首長本人の関与度によって処分期間が変わります。
高梁市のように、市長本人の法律違反では、減給幅が2分の1と大幅に拡大。これは、辞職するレベルかもしれません。
事例から相場感を導きましたが、首長は責任を感じて減給処分を自ら決定する立場だから、相場以上の減給処分にすべきでしょうか。
不祥事の全体像は公開して謝罪したのか?
” あってはならない不祥事 ”と区長コメントもだし、実名報道させたのに、本当に横領額は88万5千円どまりなのか。
産経新聞の報道では、「(蒲田警察)署は計30万円以上を着服したとみて裏付けを進めている。」とあります。
https://www.sankei.com/region/news/200130/rgn2001300036-n1.html
1か月分の生活保護費に手をつけただけではなく、数か月分、数倍の金額での横領があると考えるのが自然ではないでしょうか。
1年も内部調査して公表した結果が、実際の横領の金額と違っているのであれば、区役所組織としての責任も重くなるでしょう。
コロナウィルス対策こそ区長が取り組むべきだろう
大田区でも、総理が要請したコロナウィルス感染対策にそって、今週月曜日から公立学校を休校にしています。自治体は、住民に近い立場でコロナウィルス対策を実施していくことをいまこそ求められています。そうしたタイミングで、最小限の処分を区長に課すこともよくわからないですね。
時間に余裕のあるタイミングで、不祥事の調査結果を区民に公表してから責任をとる方がいいでしょう。
世論の関心が向かってこないタイミングに、静かに最低限の責任をとって幕引きを図る。
そう思われても仕方ないでしょう。
現職の区議会議員各位におかれましてはしっかり追及してほしいものです。
議会審議の予定(コロナ対策で短縮の可能性あり)
- 3月4日 13時から 本会議にて本議案提出。質疑。
- 3月5日 10時から 総務財政委員会にて議案の詳細審議(予定)
- 3月25日 13時から 本会議にて本議案の採決(予定)
区長や職員の不祥事をめぐる議会議論は、権力への忖度もあってオブラートに包まれたものになりがちです。見識の高い区民やメディアの皆様は、ぜひ関心を寄せて傍聴に行っていただきたい。傍聴は予約なく参加できます。
【続報】大田区元職員 不起訴処分
生活保護費着服容疑の大田区元職員 不起訴処分 東京地検
NHK web 2020.3.9 より引用
2020年3月9日 18時56分
生活保護の受給者の口座から生活保護費を着服したとして逮捕された東京 大田区の元職員について検察は9日、不起訴処分にしました。
東京 大田区の30歳の元職員はおととし12月、生活保護の受給者の口座から8万円余りを引き出して着服したとして業務上横領の疑いでことし1月に逮捕されました。 東京地方検察庁はこの元職員について9日付けで不起訴処分としました。
関係者によりますと、起訴するだけの証拠が集まらなかったとみられています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200309/k10012321681000.html
行政が正式に内部調査したのに起訴に足りる情報がない。それなのに、区長が軽く責任をとったことにして幕引きを図る。
区長の政治的な説明が欲しいところです。