大田区 遺言・相続手続セミナー振り返り 第1回

本日は遺言・相続の勉強会をご近所で開催しました。
今回が初回で毎月開催していく勉強会。あたたかい参加者の方々がお集まりいただいて有意義な会となりました。

今回の遺言・相続勉強会のお題目

今回の題目として、民法第5編相続から、総則、相続人、相続の効力(遺産分割)、相続放棄、財産分離、相続人の不存在、までをとりあげました。

相続人は誰がなるの?

相続人の規定は、第887条(子およびその代襲者等の相続権)、第889条(直系尊属および兄弟姉妹の相続権)、 第890条(配偶者の相続権) などで規定されます。

第889条 によって、相続人となる順位が 子 > 尊属 > 兄弟姉妹 となります。
第890条では、被相続人の配偶者は常に相続人と規定されます。

相続人がいない場合もあります。

第951条以下で、相続人不存在の規定があります。
相続人を捜索してもなお不存在であった場合に、第958条の3(特別縁故者に対する相続財産の分与)があります。
家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、相続財産の全部または一部を与えることができます。

それでも、相続財産の受取人がいなければ、第959条(残余財産の国庫への帰属)と相成ります。

法定相続と遺留分ってなに?

法定相続分は、第900条により定められます。
一 子および配偶者が相続人:子および配偶者の相続分 各1/2
二 配偶者および直系尊属が相続人:配偶者の相続分 2/3、直系尊属の相続分 1/3
三 配偶者および兄弟姉妹が相続人:配偶者の相続分 3/4、兄弟姉妹の相続分 1/4 四 子、直系尊属または兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しい。

遺言の章より後ろに、遺留分が規定されています。
第1042条(遺留分の帰属およびその割合)によれば、遺留分は原則 1/2
直系尊属のみが相続人である場合は1/3
兄弟姉妹には、遺留分はありません。

相続放棄はいつまでにすればいいの?

第915条によって、相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に相続放棄をしなければなりません。

被相続人が亡くなってすぐです!
短い期間で、被相続人の債務の大きさを把握しなければなりませんね。

相続の放棄の方式は、家庭裁判所に申述しなければなりません。( 第938条 )

民法改正によって、配偶者の規定が変わったの?

この日とりあげた中では、

特別受益者の相続分 を定める第903条に第4項が追加されまして、
婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物またはその敷地について遺贈または贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈または贈与について、相続財産の対象としないこととなります。

民法改正によって、銀行の対応が変わったの?

遺産の分割前における預貯金債権の行使 を定める第909条の2が追加されまして、
各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の1/3に法定相続割合を乗じた額【150万円が上限】については、単独でその権利を行使することができることとなりました。

参加者の方は、ご年配の方ばかりですが、普段銀行からお金を引き出そうとすると、
特殊詐欺を疑われて、警察が来るまで、待たされる。
そんなこともあるようです。
自分のお金なのに、悩ましいですね。

ついでに、税務署の対応も。

相続が発生してしばらくすると、税務署から『相続税についてのお知らせ』、『相続税申告等についてのご案内』が郵送されるそうです。

税務署は個人の不動産情報、所得情報を把握しています。相続発生後10カ月以内に相続税の申告も済ませましょう。
相続税関連についても、勉強会でとりあげましょう。

次回の遺言・相続勉強会のお題目

次回の題目は、引き続き民法第5編相続から、遺言、遺留分、特別の寄与、をとりあげつつ、遺言書の作成についてもお話しします。

ちょうどコロナウィルスが流行している中国武漢から、日本人が帰国してきたタイミングでもあり、第977条(伝染病隔離者の遺言)も話題になりました。
第983条で、特別の方式による遺言の効力は正常に復帰して6箇月間生存するときは、その効力を失います。

コロナウィルスに感染していても重篤とならないことを祈ります。

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