大田区の児童相談所開設に向けた計画は、児童虐待の防止を目指していますが、多くの課題に直面しています。特に、人材の確保と育成、施設の整備が重要なポイントです。すでに、児童相談所を運営している東京都と対等な協議ができるかが問われます。
特別区における児童相談所設置
2016年5月に改正児童福祉法が成立し、特別区においても児童相談所を設置できることとなりました。
大田区でも、改正児童福祉法の施行後5年(2022年)を目途とし、区が運営・管理する児童相談所の整備をめざします。
児童相談所の設置にあたっては、一時保護所を含めた施設整備や、児童福祉司等の専門的人材の確保・育成など、様々な課題を解決し、十分に対応できる体制を整備することが急務となります。
大田区児童相談所 の建物計画
さて、今年3月に、大田区児童相談所の基本構想・基本計画が策定されています。
現状の区の子ども家庭支援センターの虐待対応部門とともに、一時保護所を含めて児童相談所が設置されます。
児童福祉に携わる方の意見を聞かせていただけると有り難いです。
建物レイアウト
概算工事費用
想定延べ床面積 4,000平米
想定工事坪単価 115万円
総額 13.5億円
立地
大森西の特別出張所移転後の跡地に建設されます。
詳しくは : https://okatakashi.net/archives/3113
大田区児童相談所 のなかみの計画
児童福祉に関わる専門的人材の確保・育成は大きな課題。
ハードを整えても、ソフトが追いつかず、児童虐待に十分対応できなかった…
なんてことになってはなりません。
現在の計画では、都の児童相談所(大田区では品川児童相談所)と併立したままです。
品川児童相談所から人材などを、新しくできる大田区児童相談所へ移管するべきです。
東京都の人材・ノウハウが区に移管されるなど、東京都および23区での協議が必要です。
大田区区立児童相談所計画を撤回(2024年3月)
児童福祉に関わる専門的人材の確保・育成は大きな課題で、東京都の人材・ノウハウが区に移管されるなど、東京都および23区での協議が必要です。といったことを2018年当時、このブログで論評していましたが、
2024年3月になって、大田区区立児童相談所計画を撤回。
(仮称)大田区子ども家庭総合支援センターの今後の整備の方向に
ついて
区は、児童福祉法の改正を踏まえ、こどもと家庭の支援体制を強化するため、区立児童相談所(一時保護所を含む)の設置を目指し、子ども家庭支援センターと一体となった「(仮称)大田区子ども家庭総合支援センター」の整備を進めてまいりました。
区立児童相談所設置に向け、他自治体の児童相談所等に区職員を派遣し、人材育成を図ってきたほか、開設後を見据え区内児童養護施設や里親をはじめとする関係機関との連携体制の構築や施設整備に着手し、令和8年度中を開設予定として準備を進めてまいりました。
このような中、昨年、東京都と今後の児童相談所整備について意見交換の機会がありました。その際、東京都から「大田区単独を管轄区域とする都立児童相談所の設置について考慮する考えもあり、大田区の今後の児童相談所整備の意向を伺いたい」と伝えられました。
区として現状の準備状況等を含めて分析する中で、これまでの東京都の児童相談所運営に関する経験と、区の子育て支援の強みを融合することは、その相乗効果により、さらなる子育て環境の向上に資する最適な方策になると考えました。そのため、現段階においては区が整備を進めている「(仮称)大田区子ども家庭総合支援センター」の下で、東京都立児童相談所と区の子ども家庭支援センターが一体的に運用体制を構築し、地域の支援をより充実させていくとの結論にいたりました。
区は、引き続き令和8年度中の開設に向けて準備を進め、こども達の安全・安心の確保を最優先に、虐待の未然防止から専門的支援を切れ目なく実施し、地域に根差したこどもと家庭の総合的な支援の実現に向け、東京都と協議を進めてまいります。
参考 : 大田区児童相談所の開設に向けて
結局、東京都の協力が得られず、区立児童相談所が頓挫したわけであります。
大田区単独を管轄区域とする都立児童相談所の設置について考慮する考えを東京都は示していますが、どこまで約束されているのかしら?
正式な児童相談所がこの施設にはいらないと、2階・3階の2フロアに予定されている一時保護書が無駄になってしまいます。再来年の令和8年度までにどこまで進捗できるのか、大田区の子育て行政の真価が問われます。