大田区議会 平成29年第4定例会 会派を代表した代表質問での私の発言内容をアップします。
松原忠義区長の政治姿勢について幅広に質問したほか、成長するシェアリングエコノミーにおける公民連携の推進を提案しました。
今回のテーマは、
福祉部の法人指導監査、特定の会社が有利になる赤松小学校改築工事の入札、新空港線 蒲蒲線、路上喫煙禁止地区、ギャンブル依存症対策組体操など学校事故、教員のイーラーニング、シェアリングエコノミー。
かなりつっこんだ質問にしたので、区長は答弁に困ったものと思われます。
その結果、正面から答えない答弁を区長はしています。
答えが無いのは、やる気が無い証拠であろうと、私は理解しまして、そんな趣旨の答弁をこのブログには記載しています。
以下、文字おこし。
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松原区政の総括
ナッジ ”nudge”
今年のノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学教授リチャード・セイラー先生が生み出した言葉で「ヒジで軽く突く」という意味。行動経済学の分野における、人間の行動を変える戦略手法のことで、イギリスのキャメロン政権で税の徴収に効果を発揮したことが例として挙げられます。
ナッジとは暴力的な何かではなく、リバタリアン・パターナリズムと説明される。
経済合理性を軸に自由に行動する現代人に対しての 何かしらの政策実行手法といえる。
松原区長にとってのナッジの行く先は、なんでしょうという思いで質問してまいります。
簡潔明瞭なご答弁をお願いいたします。
地域力と国際都市
このキーワードで、区政発展に取り組んだことと理解します。
地域力
町会自治会に寄りすぎた政治姿勢と揶揄されることもありますが、
町会自治会商店街を軸に大田区の活力を高めようと努力された。
そしてそれだけでなく、区長と一般区民の対話集会を企画するなど、区民の多様性を理解する姿勢も見られます。また、近年はことあるごとに記者会見を行って大田区の発信力も強めておられ、マスコミュニケーションにも挑戦されておられる。今後の区の広報広聴のブラッシュアップによっては、全員参加型の地域力の理想が実現できるのではないでしょうか。
国際都市
羽田空港の再国際化が実現して、国際都市イベントも積極的に実施、組織的には観光国際都市部を設置し、国際交流協会も立ち上げます。在住の外国人も観光客の外国人にも安心していただけるまちづくりができたのではないか。今後の外国人住民増加を受け止める下地となる。
このように 区長は大田区政にナッジをなげかけてきたと私は理解します。
【Q】今後、区長はどのようなナッジをなげかけていくのでしょう?
【A】国民健康保険において、ジェネリック医薬品への切り替え誘導を行ってきました。
福祉部の法人指導監査
今年度の新しい動きの1つが、福祉部の法人指導監査担当課の設置だと思う。
私も、3年前議会の場で図表とともにお示ししましたが、社会福祉の担い手たる社会福祉法人が利益率が高く、内部留保が多額になっている現実がある。
単年度の利益を利用者や従業員にどう分配するのか、内部留保をどのように活用していくべきかを社会福祉法人は検討しなければならないとの趣旨で発言しました。
公共の担い手の一翼を担う社会福祉法人をはじめとした福祉事業者への指導監督が重要になってきています。
【Q】福祉部の法人指導監査担当課の実績と課題 をお示しください。
【A】効果的な指導体制の構築が課題である。きめ細かな指導監査を行っていく。
PFI
公民連携の財政面での手法として、PFIがある。
私はPFIの活用を申し上げましたら、大田区におけるPFIの先行事例として伊豆高原学園改築・運営をお示しいただいた。
伊豆高原学園のPFI事業者の提案価格は、36億円余で、区の提示に比較して5億円余 15%の経費削減につながったと当時の所管委員会で説明されています。
【Q】大田区におけるPFIの先行事例である伊豆高原学園改築・運営についてのPFIをどう評価するのか?
【A】公営の場合よりも運営経費が低く抑えられている。
赤松小学校の改築と東急建設
大田区立赤松小学校及び仮称大田区北千束二丁目複合施設改築事業プロポーザル実施要領
が公表されてます。
この事業は、公募型プロポーザルにより選定した事業者が設計業務及び建設・工事 監理業務を一括して行う (Design Build )DB 方式により実施されます。
赤松小学校が東急大井町線に近接するため、鉄道軌道の近接施工や擁壁改修を伴う複雑な切り回し計画など、多くの関連工事を同時に行う必要があるが、学校運営への影響を最小限に抑えるために早期のしゅん工をめざし、工期内の確実な履行完了を要求するために DB 方式を採用した。
事業の予定価格は
設計業務費: 145,000 千円
建設業務費:5,000,000 千円
工事監理業務費: 58,000 千円
とプロポーザル実施要領にあります。
鉄道に近接することの影響を小さくすることは、鉄道事業者であれば容易であろうけど、一般の受注業者に求められることなのでしょうか。
プロポーザル審査基準では、工事価格への評価点は、100点満点中、わずか5点。見積額、工事費低減の方針を内容としたのみである。
一方で、鉄道に近接することへの配点としては、評価項目として、近接施工能力 9点、工程計画 8点、施工計画 12点 の計29点も配分される。
つまり、建設業務費 50億円を縮減することよりも、鉄道軌道の近接施工が上手く行えることが、
赤松小学校及び複合施設改築事業のプロポーザル選定で大きく重視されている。
この条件が有利に働く事業者として思い浮かぶのは、東急電鉄グループの東急建設。
特定の会社が有利になるような
大田区立赤松小学校及び仮称大田区北千束二丁目複合施設改築事業のプロポーザル選定
との疑念を持たれかねない。
【Q】価格競争こそが公共事業の透明性の要諦だと われわれは考えます。区長のご見解は?
【A】・・・ (直接の答えがありませんでした。)
新空港線 蒲蒲線
大田区としてどのように費用便益を把握しているのでしょうか。
国土交通省鉄道局が2012年7月に作成した鉄道プロジェクトの評価手法マニュアル
これに基づいて大田区も費用便益を検討している。いわゆるB/C分析。その結果、プロジェクト全体のB/Cを1.5と算出して、よいプロジェクトと評価している。
B/C分析の算式によれば、便益とは、利用者の時間短縮の便益、供給者の便益、環境改善の便益、および、存在効果の便益の総和の現在価値です。
利用者の時間短縮の便益は、すべての発着地ペアの便益を足し合わせたもの。
たとえば、羽田空港と大田区外の発着地ペアの便益を控除すれば、大田区にとっての便益がわかります。
【Q】利用者の時間短縮の便益のうち、大田区にとっての便益の比率はわかりますか?
【A】都と協議中なので現時点では答えません!
路上喫煙禁止地区の拡大
大田区では、平成16年から変わらず蒲田の東西の駅前広場しか、路上喫煙禁止地区には指定されてません。
他区の路上喫煙禁止地区の数は多いです。
世田谷区は12地区、品川区5地区(大崎、五反田、大井町、武蔵小山、青物横丁の各駅周辺地区)、川崎市 7地区、足立区では、北千住、綾瀬、西新井、竹ノ塚、梅島、五反野 と順次拡大して、6地区。
大田区であれば、蒲田、大森、平和島、大森町、梅屋敷、糀谷、池上、御嶽山、長原 あたりが路上喫煙禁止地区指定されてるべきではないか。
他自治体の路上喫煙禁止地区は広いです。
五反田は、五反田駅前から大崎広小路駅前まで、広く一帯。川崎駅前であれば、駅から市役所通りなど目抜き通りを第一京浜まで路上喫煙禁止地区に指定されている。
これって蒲田ならば、京急蒲田から蒲田さらに蓮沼駅前まで路上喫煙禁止地区であるべきだが、
実際は、蒲田東西の駅前広場部分と本当に狭い範囲しか指定されていません。
【Q】大田区の路上喫煙禁止地区が他自治体と比較して著しく狭い、路上喫煙規制が著しく緩い。
彼我の違いはなんでしょうか?
【A】・・・ (直接の答えがありませんでした。)
実際には下記の発言。(議事録から引用)
彼我の違いはなんでしょうか?との問いをスルーしてます。
路上喫煙禁止地区についてのご質問ですが、区は「清潔で美しい大田区をつくる条例」で、人の往来が激しく、吸い殻の散乱が著しいため、特に環境美化の促進を図る必要があると認める地区を路上喫煙禁止地区に指定して、喫煙する方々への啓発と指導を強化してまいりました。
路上喫煙禁止地区の拡大については、地域ごとの状況を踏まえ、区民や事業者の多様なご意見もお聞きしながら検討する必要があります。現在、国や東京都において受動喫煙防止の観点から法令整備について様々な議論がされており、その動向も注視しているところでございます。
区といたしましては、今後も喫煙マナーの向上のための啓発と指導を強化しながら、地元の方々と連携して環境美化の取り組みを進めてまいります。
ギャンブル依存症対策
自治体でギャンブル依存症対策に取り組む意義について
さきの決算特別委員会の総括質疑で私は申し上げました。
ギャンブル依存の入り口のひとつは、スマホゲーム依存である。スマホゲームという広い裾野が重いギャンブル依存につながっている。これは、ギャンブル依存症対策に関わる専門家たちが同様の認識を持っています。
また、小・中学生がSNSよりもゲームに時間をかけているとこの場で紹介したことがあります。内閣府の青少年のインターネット利用環境実態調査結果によって示された結果です。
スマホゲームは課金の問題が取りざたされがちだけど、ゲーム製作サイドからは小・中学生のお財布はあまり当てにしていなくて、課金よりも課時間の傾向があると聞きます。広告視聴に時間を費やすことで、スマホゲームを継続する課時間ゲームです。
子どもの有限な時間が大量に課時間ゲームに費消されていくのは、次世代育成にとって明らかに問題です。
次世代育成の観点からもギャンブル依存症やゲーム依存症対策を担う部署を設けていただきたい。
【Q】ギャンブル依存症対策の担当課設置をしてはいかがか?
【A】関係部局の適切な連携のもと、依存症対策に適切に対応する。
ぱちんこ店新規出店規制条例の制定
大人にとってのギャンブル依存の中心は間違いなくぱちんこ。
ぱちんこ事業者ともこの間、意見交換しました。近年、ぱちんこは出玉規制が厳しい。短時間で大きく勝つこともなければ、大きく賭け金を失うこともない。長い時間ぱちんこ台の前に滞在してお金を落とす層が新たなターゲット客層になる。そうした時間のある人のイメージは、年金所得者や生活保護受給者なのでしょうか、支給日には駅前の宣伝活動も活発になる。
そうして、時間がある人とお財布が駅前のぱちんこ店に吸い上げられていく。
ここでやるべき、政策はぱちんこ店出店規制です。
【Q】ぱちんこ店新規出店規制条例の制定については、ご興味はございますか?
【A】ぱちんこ店は、東京都公安委員会の許可を受けて営業している。
組体操など学校事故
私が昨年、大田区でも学校運動会での組体操の中止を明確にするべきと質問しましたら、津村教育長から、大田区教育委員会では、平成28年4月に各校に対し、第1に、ピラミッド、タワーについては原則として休止する、第2に、安全対策の点検を行い万全の対応を図るとともに、学習指導要領の狙いを達成する観点から、各種目の必要性や妥当性について検討する、第3に、体力等の向上や危険予測・回避能力を育成するとの方針を示しております。との答弁をいただいた。
一年経ちまして、大田区の組体操事故の変化を確認しました。
日本スポーツ振興センターが、保険事故として処理した学校事故を把握しています。
資料開示をお願いしたところ
大田区立小中学校で運動会の組体操やその練習で発生した事故は平成28年度では4件 27年度 32件から、大幅に減少したことがわかりました。
そこで、組体操に限らず、学校全体の安全対策も分析するべく、
日本スポーツ振興センターが把握する大田区立学校における学校事故の保険給付申請件数の開示をお願いしましたら、平成28年度は 全部で2,032件。
一方で、教育委員会指導課が学校から報告を受ける 事故発生報告書 の件数は、41件しかない。
教育委員会における学校事故把握として不十分です。
『安全対策の点検を行い万全の対応を図る』とするならば、保険請求するレベルの事故は分析して安全対策を検討するのが妥当であろう。
【Q】少なくとも、保険事故として処理した学校事故については各学校が事故発生報告書を作成して、教育委員会指導課に報告するべきではないか?
【A】学校は軽微なケガについても保険申請をしており件数が多い。詳細な事故発生報告書を作成するのは負担が多いのでやりません!
教員のイーラーニング
教員勤務実態調査の結果から、教員が研修を受ける時間は少ないことも明らかになっています。
これでは、教師の質が保てないのではないか。学力の向上などおぼつかない。
【Q】教員の研修を効率的に行うために、イーラーニングを導入してはどうか?
【A】東京都ではホームページで研修動画を島嶼部の教員、育休中の教員を対象に配信している。対象範囲の拡大を申し入れしたい。
【シェアリングエコノミー】
大田区におけるシェリングエコノミーについていくつか具体的に提案・質問をさせて頂きます。
学校教室の活用です。私が6年前の初当選以来、空き教室を活用した学校内学童保育の実施を提案してまいりまして、実施前は様々に課題が想定されたのかもしれませんが、今や実質的に全ての小学校で学童保育が実施されています。これは、教室を学校と学童保育事業者でシェアしているといえます。
学校給食のシェア
高齢者の中には、配食サービスに頼っている方もいらっしゃいます。人が各家庭に食事を届けるのは、それだけマンパワーが必要です。かといって、住宅地域においては、外食の場所は限定的であるのも事実です。そこで、高齢者に近くの小学校に足を運んでいただいて学校給食を食べる場を日常的に設定するのは、孤食の高齢者と地域をつなげることにより地域課題を解決できるシェアだと思います。今後、学校建替を複合施設化するに際して、意義のある取り組みだと思いますがいかがでしょうか?
【Q】学校給食を近隣の高齢者とシェアしては?
【A】現状でも高齢者の招待給食を実施している。学校施設の複合化に際して、さらに充実させたい。
公園のシェア
今後、日本が徐々に縮退していく中で、公共もこれまでは行政だけが担っていた時代から企業やNPOが担っていく時代に突入していきます。国が方針を示すように、公共施設の運営を民間に任せることで、より魅力的な場所に生まれ変わる可能性を十分に秘めており、都内ですと、上野公園のスターバックスや、豊島区の南池袋公園など、少しずつ成功事例も生まれています。南池袋公園は公園の芝生を使って野外映画上映会を開催したり、オープンウエディングを実施するなど、エリアの価値向上と公園の収益確保に繋げています。
大田区にも大きなポテンシャルを持つ公園として洗足池があります。
地方分権一括法の改正時に公園条例の建ぺい率は自治体の斟酌で変えられるようになっていますから、大田区がその気になれば、公園にカフェを作ることは可能です。あるいはカフェでなくても、マルシェやアートマーケットを開催するなど、このエリアの価値をさらに高めるための工夫を公民連携で進めることも検討してはどうでしょうか。
例えば、横浜市は今年に入って、すべての都市公園を対象に民間企業にサウンディング調査を行い、「どこの公園で、どんな民間事業を実施したいか。それにあたって公園管理や魅力向上にどういう寄与ができるか?」という調査を実施し、実に80社近い企業から公園を使いたい、という提案があったと聞きます。大田区でもまず洗足池公園を対象にサウンディングをやってみるのも方法としてはあるかなと思いますが、いかがでしょうか。
今でも魅力のある洗足池公園ですが、これが公民連携によってさらに魅力が向上すれば、公園を訪れる人も増えるでしょうし、そうなれば、周辺の商店街にもいい影響を与えると思いますので、ぜひ、前向きに検討して頂きたいと思います。
【Q】洗足池公園、さらには東調布公園、整備計画中の田園調布せせらぎ公園などを対象に民間企業にサウンディング調査を行わせてはいかがでしょう?
公園活用の公民連携についてのご所見を伺います?
【A】パークマネジメントの視点から、公民連携を進めていく。
シェアリングエコノミーは、行政側からすると、公民連携と読み替えることができます。
シェアリングエコノミーの市場が拡大していく中で、公民連携の取り組みは加速します。
区役所は行政サービスの提供主体にとどまるのでなく、シェアリングエコノミーのエコシステムを整備すること、公共サービスの提供者へのマネジメントがこれから求められます。
そのためにも大田区が未来のビジョンをどこまで打ち出せるか、大変重要だと思います。