民泊条例: 具体的な規制はどうなるのか?厚生労働省の検討は?

大田区で民泊条例( 大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例 )が、12月7日の本会議で議決されました。
当日は傍聴席にテレビカメラが5台ほど詰めてまして、かつてない注目が大田区議会に集まりました。一部のベテラン議員がパフォーマンスとおぼしき発言を壇上で行っていたのは、田舎議会と揶揄されるかもしれません。

今回の民泊条例は、国家戦略特区にある大田区で民泊の規制緩和を実施すると宣言した程度のものです。具体的な民泊の特定認定のルールはこれから。区長の定める規則などで示されます。
以下の私の過去記事もご参照ください。
厚生労働省が、「民泊サービス」のあり方に関する検討会 を11/27を初回に開催して、昨日 12/14が2回目、年度内に中間とりまとめでだいたいの方針が示されます。
なんで、厚生労働省が出てくるのか?
民泊は旅館業法の規制緩和によるものですが、旅館業を衛生面で規制するお役所は保健所で、中央組織は厚生労働省になります。
このタイミングなので、
民泊がテロのリスクを拡大する!!
との批判も飛びますが、
保健所は衛生面に対応するのみ。パスポートによる本人確認はどちらも必要とはするでしょう。

「民泊サービス」のあり方に関する検討会では、民泊によって、急増する訪日外国人観光客の宿泊需要への対応、空き家の有効活用などの要請に応えるとしている。そうすると、わが大田区は都内にありながらそこそこの空き家があって、国際空港立地自治体として訪日外国人も見込めるパイロットケースと言えるでしょう。
旅館業についての建築基準法関連の規制は、以下の通りです。

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旅館業が可能な用途地域は第1種住居地域、準工、商業などで低層住居専用地域は含まれません。これも民泊に準用しようというのが、現在の流れです。大田区のお隣の世田谷区議会議員から民泊条例に否定的な意見をいただきました。閑静な住宅地に不特定多数の外国人が来てほしくないと。そもそも閑静な住宅地は旅館業可能な用途地域ではないとわかり、安心していただけました。
消防庁が民泊についての規制案を示しています。
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新たな消防設備を不要とするケースも多いことがわかりました。

民泊という規制緩和についての反対論は、既存のホテル・旅館業界から網羅的に示されています。
全日本シティホテル連盟は、マンション組合規定の重視、スーパー南京虫対策などの衛生管理、地方弱小ホテルへの影響を主張しています。
日本旅館協会の中心的な主張は、民泊という名の違法空きマンション営業を法の適用除外で良いと考えるなら現状の旅館業法も不要であり、廃止すべきである!
現行の規制が現状に合わない厳しすぎるものなのかもしれません。特区による規制緩和だけでなく、現行の規制の見直しも必要なのかもしれません。


大田区は、来月には民泊条例の関連規則を定めて施行する予定です。
民泊は、25m2以上のアパート・マンションの空き部屋、戸建ての空き部屋を7日以上、外国人の宿泊に供する事業です。大勢の人が寝泊まりすると問題も出るだろうから、私は宿泊定員を設定することを提起しました。しかし、ホテル・旅館の1人当たり最低面積は 3m2、簡易宿所の1人当たり最低面積は 1.5m2。簡易宿所の基準を準用したら、
民泊の最低面積25m2で定員が16人もいる!!
定員という数量規制ではなく、近隣トラブル防止の観点を重視するほかありません。

上述のとおり、既存の建築基準法や消防法の規制にかかるので、建築審査、消防署への届けが必要になります。特段、対応が必要のない建物もありそうですが、
なんといってもお役所です。
簡単にはOKしてくれないかもしれません。現場は規制緩和の必要性を感じていないでしょう。

せっかく、民泊によって、急増する訪日外国人観光客の宿泊需要への対応、空き家の有効活用などの要請に応えるとするのですから、
スムーズに民泊が大田区でスタートできるように、引き続き意見してまいります。

実際に民泊事業を検討されていらっしゃる方などで、ご意見などありましたら、ご遠慮なくおしらせくださいませ。

大田区議会議員
岡 高志


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