遺言書自動作成サイト 遺言書AI 運営者の行政書士 岡高志 です。私の立場からは、 エンディングノート には、強い期待を寄せています。
遺言書は、本当に必要なことを争われることがないようにシンプルに遺しておくものです。その他の、遺しておきたいメッセージは、エンディングノートを活用したほうがよいと思います。
エンディングノート とは?
ご自身が亡くなったときに備えて、家族に向けて必要な情報を書き残しておくためのものです。資産・銀行口座・保険・葬儀に関することなどを事前に記しておくことで、死後に対応する家族が動きやすくなるといったメリットがあります。
デジタル化が進む昨今、オンラインでの銀行の取引や株式の売買さらには仮想通貨など、インターネット上のデジタル遺産が見つけられずに、失ってしまうこともあるかもしれません。
また、大切な人にメッセージを伝えることもできます。自分の人生を振り返り、あとの世代に伝えていきたい場合にも有効です。
エンディングノート と 遺言書 の違いは?
エンディングノートと遺言書の違いは、法的効力があるかどうかです。
遺言書には法的効力があります。形式も公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言と定められており、そこから反したものは無効です。
エンディングノートには法的効力がないため、自分の財産分与などについても強制させることはできません。
死後の相続についての意思は遺言書に遺しましょう。 遺言書作成サイトはこちら
エンディングノート のメリット
生前整理のためにエンディングノートを残しておくことについてはメリットが数多くあります。残りの人生を有意義に送ったり、死後への備えであったりといったさまざまな役割があるのがエンディングノートの魅力です。
エンディングノートにご自身の思いを託す、自分史を書くことで、家族も知らなかったことや思い出を共有することができ、遺された家族への愛情を示すこともできます。
家族や友人に対してメッセージを遺せるのもノートのメリットです。ノートの中に手紙という形で、1人1人に対してメッセージを書くこともできます。家族や友人それぞれへのメッセージで、自分の思いを伝えられます。
家族に想いを託せる遺書や遺言書でも家族への想いを伝えることはできますが、細かな部分まで伝えきるのは容易ではありません。ノートという形であれば、自身が伝えたい希望をより細かく伝えることができます。
生前の介護の希望や延命措置のこと、葬儀や費用の捻出方法などが明記されていれば、本人の判断力が衰えたり意思表示ができなくなったりした時も、家族が迷うことなく様々な選択をすることができます。それにより家族の辛い気持ちも和らげることができます。
ご自身の資産を正確に記入することで、現在の経済状況を把握できるので、人生の終末期をどのように過ごすのかを考え、準備するのに便利です。もちろん、資産を明確にすることは相続にも関わる大事なことです。
友人の住所や連絡先といった情報をまとめておけば、備忘録として活用できるでしょう。亡くなったことをどこまで連絡するべきか、葬儀の案内をするべきか、といった情報もあると遺族の助けとなるでしょう。
忘れてしまいがちである大切な情報を、一つのノートという形でまとめておけば、どこにメモを残しておいたかについて悩むこともありません。物忘れが多くなってきたという場合は、エンディングノートへの記入をおすすめします。特に、自分しか知らないような情報は優先的に記入しておくと良いでしょう。きちんと記録しておけば、家族にとっても役立つノートになります。
エンディングノートを遺す方法
エンディングノートは、ノートという名前もあって、紙のノートも様々販売されています。必ずしも紙ではなく、デジタルデータで遺しても問題ありません。いくつかのエンディングノートの方法を以下まとめます。とにかく、内容や方法は自由です。
- エンディングノートという市販の紙のノート
- インターネットからダウンロードできるエンディングノートという数枚の紙
大阪法務局では、大阪司法書士会と連携して、エンディングノートを作成しています。
参考:「エンディングノート 大阪法務局/大阪司法書士会」を作成しました - パソコンで作成できるwordやエクセル
- WEBサービス
- スマホアプリ
エンディングノートの内容は、積極的に更新したほうがいいと思いますので、パソコンでエクセルで作成されることをオススメしております。
特に、インターネットのURLなど英数字の多い情報が増えてきていますので、手書きのノートよりもデジタルデータの方が扱いやすいです。
岡高志行政書士事務所では、お客様に無料でエンディングノートのひな形を提供しております。
エンディングノート の 内容
エンディングノートの記載内容を分類ごとにまとめます。
ご自身の基本情報
- 生年月日・本籍地・血液型・マイナンバー
- 家族情報・家系図
- 学歴・職歴・資格
- 自分史・人生のターニングポイント・性格・信念・趣味・特技・好きな食べ物・・・
生年月日・本籍地といった基本情報を書くことは、意外と重要です。
隠し子がいて、認知をしたい場合は、遺言書として残さなければ、死後の認知は出来ません。
加えて誕生から現在までの自分史や、好きな食べ物や趣味など内面的な部分を書くことは自分自身を振り返り、今後何をすべきか考えるきっかけとなります。新しい自分も発見できるかもしれません。
財産・資産・負債
相続財産は預貯金のようなプラスの財産だけではなく、借金などもマイナスの財産として相続の対象となります。
- 銀行口座(銀行名・支店名・口座名・残高)
- 現金の保管場所(必要に応じて)
- 不動産
- 有価証券
- 貸付金(家族・友人など。契約書があればその保管場所も。)
- 電子マネー・ポイントカード
- 貴金属
- 骨董品など価値のあるコレクション
- 貸金庫やトランクルームなどの有無
- 保険・年金(保険会社名、種類、商品名)
- 借入金(借入先名・担保の有無など)
- 保証債務(借金の保証人など)
通帳などの保管場所を書いておけば家族が対応しやすくなります。
※銀行口座の暗証番号、ログインパスワードなどの記載については後述します。
定例の入出金(ローン、サブスクリプション)
- 公共料金やクレジットカードなどの自動引き落としの情報
- 携帯電話の契約
- インターネットのプロバイダー情報
- Amazonなどのサブスクリプション
定額のサブスクリプションサービスに加入している場合も書き残す必要があります。解約しなければ、本人が亡くなった後も課金が続いてしまいます。
※サブスクサービスのログインパスワードなどの記載については後述します。
事業について
生涯現役で事業をされてる方も多いです。
会社経営で、他の取締役が事業執行できる場合はいいのですが、個人事業主や一人会社の場合、事業主の死亡は、事業の消滅を意味します。たとえ、株式を家族が相続しても会社の事業は実質的にないことになります。
ご自身の死後、誰かが代わりに引き取って、資産を相続人が円滑に相続できるよう決めておきましょう。
もちろん、顧客が不利益を受けないようにしておきたいものです。
身の回りのこと
- パソコンやスマホのID・パスワード
- Googleアカウントのメールアドレス・パスワード
- Twitter, Facebook, Instagram などSNSのID・パスワード
SNSなどのデジタル情報はIDやパスワードがわからないと永久に残ってしまいます。IDやパスワードだけでなく、操作方法や死去の事実を投稿するなどノートに記しておきましょう。
スマホが指紋認証にしてあると、死後、開けることが出来なくなります。ご遺体の指でも指紋認証がなされることもありますが、親指か人差し指かわからない、タッチの仕方が悪いなどで、うまくいかない可能性があります。また、ご遺体の指を触るのもあまりいい気もしないでしょう。
Appleでは、Apple ID の故人アカウント管理という方法があります。とはいえ、死後に死亡証明書を米国法人であるApple社に提出して審査を得るなど、容易ではなさそう。
参考:Apple ID の故人アカウント管理連絡先を追加する方法
家族・親族へのメッセージ
家族や親族との思い出や感謝の気持ちなどを残しておきましょう。
非嫡出子(認知した隠し子)がいる場合、死後いさかいが起こるかもしれませんので、その出生の経緯を記入しておいてもいいでしょう。
家族・親族の一覧 ・現在の家族や自身の親や兄弟の続柄、連絡先 ・同居していない家族や養子の有無など ・相続の際に使用する親族表 など
なお、前述の通り、認知していない隠し子を認知をしたい場合は、遺言書として残さなければ、死後の認知は出来ません。
友人・知人
友人・知人の一覧 ・友人や職場の同僚の連絡先 ・自分の葬儀に参列してほしい人などを記入します。
友人や知人への感謝の言葉を遺すのもよいでしょう。写真も添付してもいいでしょう。
ペット
特にひとり暮らしの場合は、残されたペットを引き取り、きちんと世話をしてくれる人を決めておかなければなりません。今はペットの老人ホームもあります。
ペットの性格や好き嫌い、病歴なども記入しましょう。
医療・介護
- かかりつけの病院名
- 常用している薬 ・持病・アレルギー
- 重病を患った際の治療方針を決める人
- 回復が見込めない場合の延命措置
- 臓器提供や献体登録の有無
末期の状態になった時、家族は延命措置などの決断を迫られます。精神的負担を減らすためにも自己判断ができなくなった時の対応方法を決めておくことは大切です。
もちろん、この場合は、死んでからでは遅いので、お元気な時に家族と共有しておきましょう。
葬儀・墓
- 希望する葬儀の内容(喪主・参列者 ・遺影の写真など)
- 墓の所在地・連絡先・使用権者・墓を継承してほしい人
- 菩提寺の名前や連絡先・宗派
こちらも、死んでからでは遅いので、お元気な時に家族と葬儀やお墓については話し合っておきましょう。
遺言書
遺言書があれば保管場所。
遺言執行者の名前や連絡先もあると安心です。
エンディングノート 保管方法
エンディングノートの保管は悩ましいです。
家族に知らせておいていい内容であれば、渡してしまっていいのです。
家族に生前には知らせたくない内容であれば、保管場所を秘密にしておきたいでしょう。
私どものような第三者に死後家族に伝えるようにと委ねるのも有効ですが、オンライン証券会社のID・パスワードを第三者に委ねるのはオススメできません。銀行のような信用力の高い企業や、Fintechのベンチャー企業がそうしたサービスを展開してますが、本当に信用できるのでしょうか。
遺言書自動作成サイト の運営者の立場からオススメするエンディングノートの保管方法は
ファイルにパスワードを設定する。
そして、そのパスワードとファイルの保存場所を遺言書に書いておくこと。
さらに、Google Docにエンディングノートを記録して、Googleアカウントとパスワードを遺言書に書いておくこと。
クラウドサービスは各種ありますが、さすがにGoogleのサービスは10年先まで継続してそうです。
スマホアプリでデジタルエンディングノートにという声もありますが、スマホアプリは1年ももたずにサービス終了していたりと継続性には不安があります。
Googleアカウントのメールアドレス・パスワードについては、電話番号との2段階認証になっていると、電話が使えない場合、ログイン出来ないので、注意が必要です。
デジタル遺産と相続
デジタル遺産ですので、ID・パスワード情報を家族に遺しましょうと述べてまいりました。
本来は、家族といえども、本人のID・パスワード情報をつかってログインしてはいけないサービスもあるかもしれません。
とはいえ、サービス提供者に対して、本人死亡の事実を伝えて相続手続を進める。このことは容易ではありません。WEBサービスのため、窓口対応にマンパワーが無く、相続手続が予定されていないのです。また、日本国外のサービス提供者の場合、言語の壁があるほか、相続手続が大きく異なります。例えば、外国証券の資産を相続するために、弁護士の介入を求められるケースもありまして、多額の手数料が結果としてかかります。
結局、本人の死亡後、家族・相続人が、本人に代わって清算手続をすることとなります。
出来る限りスムーズに清算できるように、手続方法も具体的にエンディングノートに遺しておきましょう。
デジタル資産の相続はいろいろ課題がありそうです。こちらの記事も適宜更新してまいります。
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