隠し子の認知は遺言書と遺言執行者の協力で争族回避を実現

行政書士おかたかしです。今回の相続コラムは、父親が亡くなって初めて隠し子の存在に気づくというドラマにでもありそうな相続トラブルについてです。

1.「認知」と「嫡出」によって決まる

相続における「隠し子」は一括りに言えず、「認知をされているか」と「嫡出子であるか」によって相続人となるかどうかが異なります。

認知とは、婚姻関係にない男女間で誕生した子供に対して父親が法律上の親子関係を結ぶことを言います。また嫡出子とは婚姻関係にある男女間に産まれた子供であることを意味します。

まず遺言書によって隠し子の認知がなされない限り、認知をされていない非嫡出子である隠し子には相続を受ける権利は発生しません。

そして問題となりやすいのが嫡出子である隠し子の存在がわかった場合と、認知されている非嫡出子である隠し子の存在がわかった場合です。非嫡出子の場合でも認知がされていれば嫡出子と同様に戸籍謄本に正式に記載がされます。一度戸籍に記載がされると存在を隠すことは困難であり、隠し子には正式に相続権が発生します。

相続権のある隠し子の存在があった場合には、会ったことのない人物であっても必ず連絡を取り、遺産分割協議に参加をしてもらう必要があります。相続権がある以上、隠し子にも法で認められている遺留分が発生するため隠し子の存在は相続上無視できない存在となります。また隠し子以外の相続人全員の合意を得られたとしても、隠し子を除いた状態で行われた遺産分割協議の内容については法的な効力はなく無効となるので注意しましょう。

2.隠し子と連絡を取るには

「戸籍謄本から相続権のある隠し子の存在がわかったが、現住所も連絡先も一切わからない」という場合でも遺産分割協議を行うためには連絡を取る必要があります。

このような場合にはまず戸籍の附票を役所で請求しましょう。

戸籍の附票には本籍地を定めて以降の住所の履歴が記載されています。これを頼りに手紙を郵送してみるなどコンタクトをとりましょう。
戸籍謄本の取得に際しては、行政書士などの国家資格者であれば対象者の委任状なくても手続ができますので、依頼するとスムーズです。

この場合に差出人を個人としておくことは問題ありませんが、知らない個人からの郵便として怪しまれて無視をされてしまう事も少なくありません。

そうした場合にも、行政書士などの信用のおける第三者を通じてコンタクトを取ることも1つの手段と言えるでしょう。

3.隠し子と連絡が取れない場合には

住所がわかって連絡をしているが、いくら待っても返事を貰えず遺産分割協議が進まない場合には相続が行われないまま時間だけが過ぎてしまいます。

このような場合には「不在者財産管理人」を家庭裁判所に選任してもらうことによって遺産分割協議を行うことが可能となります。
不在者財産管理人とは不在の法定相続人に代わって遺産分割協議に参加してくれる代理人のことです。
隠し子との連絡が取れない場合には不在者財産管理人が代理人として遺産分割協議に参加をすることで、法的に有効な相続として進めることが可能となります。

4.遺言書によって隠し子の存在がわかった場合

遺言書で初めて隠し子の存在が認知されることも少なくありません。

このような場合には戸籍上の記載がなくても認知された非嫡出子として扱われ、隠し子には相続権が発生します。そのため戸籍に記載がないからといって隠し子が不在のまま遺産分割協議を行っても無効となるので、遺言書で認知が行われた場合には速やかに隠し子へのコンタクトをとるようにしましょう。

残された家族にとって、亡くなったことをきっかけに隠し子の存在が明らかになるというのは非常に複雑な気持ちとなるでしょう。

そんな心境の中で隠し子へのコンタクトを取る作業は気苦労となるため、もし相続にあたって隠し子の認知をしたい場合には遺言書に明記の上、遺言執行者を立てておくことをおすすめします。