2026年10月13日、東京都都市整備局が、7月の蒲蒲線(新空港線) 都市計画素案説明会に寄せられた質問への回答集――全135問のQ&Aをホームページで公開しました。 7月の説明会で私は手を挙げ続けたものの指名されず時間切れ。質問はWEBフォームから提出していました。 「どうせスルーされる」と半ば諦めていましたが、回答は出ました。 ——ただし、読んでみると“答えになっていない答え”が大半です。
この記事では、私の5つの質問に都がどう答えたかの答え合わせと、 特に見逃せない回答を、私のコメント付きで記録します。 計画の全体像・経緯・私が反対する理由は、別記事 「大田区の蒲蒲線・新空港線計画とは?」にまとめています。
背景:時間切れで読み上げられなかった「5つの質問」
2026年7月17日・19日、東京都主催の都市計画素案説明会がカムカム新蒲田で開かれ、約500人が集まりました。 私は質問しようと手を挙げ続けましたが指名されないまま時間切れ。 「時間内に受けられなかった質問は後日WEBで」との案内でした。 そこで私は、事業費の内訳・超過時の区民負担など核心を突く5つの質問を記録・提出しました。 その回答が、約3か月後の今回ようやく公開されたわけです。
私の5つの質問に、都はこう答えた(そして答えなかった)
Q1|事業費1,248億円の内訳(多摩川線/新空港線別)は?
都市計画においては、既存の東急多摩川線を地下化する区間を都市高速鉄道としていることから二つの路線で区分しております。事業費については、新空港線事業として算出しており、総額約1,248億円としております。(A69)
▶ 岡コメント:都市計画は2路線に分けておきながら、お金は「新空港線事業」として一括。内訳は出さない=区民に検証させない姿勢です。ゼロ回答に等しい。
Q2|1,248億円は具体的な工事計画を反映した“確定額”か?
現在の事業費約1,248億円は、都市鉄道等利便増進法に基づく整備構想作成時に羽田エアポートラインが策定した事業計画に基づき、算出した事業費であります。(A79)
▶ 岡コメント:「整備構想作成時の算出」とは言うが、具体的な工法を反映した確定額だとは一言も言っていない。つまり、これから動く数字です。実際、A80では「令和4年度までの物価高騰を見込んだ」とあり、以後の高騰は未反映。
Q3|事業費が大幅超過しても、都3割・区7割は守られるのか?
都区の費用負担割合は、都と区の協議の場において、都と区で合意した内容であるため、見直す予定はございません。(A68)
▶ 岡のコメント:これが答えです。事業費が膨らんでも割合は固定=超過分は7割、大田区民にのしかかります。
Q4|ピーク時20本のうち、渋谷直通(東横線経由)は何本?
朝間の最も混雑する時間帯1時間では東横線直通列車が4本程度・各駅停車16本程度、その他の時間帯は、東横線直通列車が2本程度・各駅停車8本程度の運行本数を計画しております。(A57)
▶ 岡コメント:ピーク時20本のうち、渋谷方面へ直通するのはわずか4本程度。「渋谷とつながる」という触れ込みの実態はこの本数です。
Q5|多摩川線利用者のJR乗換がかえって不便に。なぜ地下改札を検討しない?
(蒲田駅周辺再編プロジェクトでは)駅部における東西の行き来は、デッキ階レベルの歩行者ネットワークを充実させていきたいと考えております。そのため、地下レベルで東西のまちを行き来する歩行者動線を確保する計画はございません。(A40)
▶ 岡コメント:地下改札はつくらないと明言。多摩川線は地下B1へ、JR乗換はデッキ階へ上がって移動。乗換時間は現状約4分→開業後約5分に“悪化”するのを容認しています(A35・A38)。
さらに、見逃せない4つの回答
運賃は「未定」(A61)
東急線の運賃体系を基本とし、新空港線(新線区間)について加算運賃の設定を想定しております。具体的な金額や詳細については(略)関係者と今後調整してまいります。(A61)
▶ 岡コメント:運賃が未定。それで、収支計画をどう作ったのか。謎です。
都と区の費用負担の考え方(A62)― 過去の開示回答と食い違う
都と区の費用負担については、需要予測に基づき、都は空港アクセスに関する利用者等の分を、区は空港アクセスを除く大田区発着に関する利用者の分を、それぞれ負担することとしております。(A62)
▶ 岡コメント:これは、かつて私が行った情報公開請求への回答(大田区便益比率22%)とは、話が違います。
需要予測の根拠(A89)― ブラックボックス感
需要予測については、国が公表している鉄道プロジェクトの評価手法マニュアル等に基づき、将来人口、沿線開発、空港利用者数、交通ネットワークの状況、運行計画等の前提条件を設定したうえで算定しております。(A89)
▶ 岡コメント:「マニュアルに基づき前提条件を設定」――肝心の前提条件そのものは示されない。ちょっとブラックボックス感がありますね。(なお需要予測はA90で「57千人/日→51千人」に下方修正されています。)
第三セクターの経営(A95)― 施設使用料こそ示すべき
営業主体が受益相当額を施設使用料として整備主体に支払い、整備主体はそれをもとに借入金等を返済していく仕組みであります。(略)整備主体となる第三セクターは定期的かつ安定的な収入が見込まれており、運賃収入によって経営するものとは状況が異なります。(A95)
▶ 岡のコメント:「安定的な収入」と言うなら、その源である施設使用料がいくらなのかを示してほしいものです。
都は「区負担362億円」と回答 ― 私の「593億円」とどちらが本当か
(大田区の負担は)都市鉄道等利便増進法の補助金として約279億円、羽田エアポートラインへの出資金として約83億円の合計約362億円を予定しています。(A71)
▶ 岡コメント: 私が示してきた「593億円」は総事業費1,360億円ベースの推計(補助317億+出資276億)。 都の「362億円」は圧縮後の1,248億円ベース(補助279億+出資83億)です。 しかし出資83億は「別会社」の資本で、回収が保証されたお金ではありません。 数字が下がったように見せても、区民のリスクは何も減っていないのです。
全135問の原文と、都の公開について
回答集は2026年10月13日ごろに公開されました。意見募集の締切(8月23日)から約50日後です。
上記以外にも「住民投票の予定なし(A117)」「説明会を1時間半で打ち切った理由=片付け・警備上の問題(A110)」 「説明会費用 約4,000万円(A115)」「B/Cが協議時2.0→速達性計画で1.5に低下(A84)」など、 記録しておくべき回答が並んでいます。全文は東京都の公開資料をご確認ください。
▶ 出典: 東京都都市整備局「新空港線(蒲蒲線)」パンフレット等 掲載ページ (Q&Aは「いただいたご質問の要旨とそれに対する回答」PDF)
答え合わせ、そして次へ
5つの質問のうち、数字で具体的に答えたのは渋谷直通本数(4本程度)くらい。 内訳は出さず、超過時は「区の負担割合は見直さない」。 これが都の“135問回答”の実態です。答えないことで、答えているとも言えます。 私は引き続き、この計画を注視します。こんな蒲蒲線は、白紙撤回に。

※引用部(A◯◯)は東京都都市整備局の公開Q&Aからの抜粋です。回答番号は都資料の付番に対応します。コメント(▶)は筆者・岡高志の見解です。

