大田区の「おくやみ手続きガイド」と予約制おくやみコーナーが便利です

おくやみコーナー 福祉・社会保障
おくやみコーナー

ご家族を亡くされた後、遺された方は深い悲しみの中で、数多くの手続きに向き合うことになります。健康保険、介護保険、年金、税金、住まいのこと。窓口は課ごとに分かれ、何をどこに出せばよいのか、見当をつけるだけでも大変です。

大田区では、こうしたご遺族の負担を減らすために「おくやみ手続きガイド」という冊子を発行し、区役所本庁舎に予約制のおくやみコーナーを設けています。

区議会議員として8年、そして行政書士として相続のご相談を受けてきた立場から申し上げると、これはとても良い仕組みです。ただ、必要になるまで知る機会がないため、知らずに区役所を回っている方も多いのではないかと思います。この記事では、その内容と使い方をご案内します。

大田区「おくやみ手続きガイド」とは

「ご遺族の方へ 〜おくやみ手続きガイド〜」は、大田区が発行している手続きの案内冊子です。表紙には白いユリの花があしらわれ、「このたびは大切な方のご逝去に心からご冥福をお祈り申し上げます」という一文から始まります。

この冊子の優れている点は、チェックリスト形式になっていることです。

冒頭に「亡くなった方についてのご確認」という一覧があり、「世帯主である」「印鑑登録をしている」「国民健康保険に加入している」といった項目が並びます。当てはまるものにチェックを入れていくと、自分に必要な手続きと受付窓口、そして詳しい説明が載っているページ番号が分かる仕組みです。

掲載されている主な手続きは次のとおりです。

分野主な手続き
住民票・戸籍世帯主変更、印鑑登録証の破棄、マイナンバーカードの返納
保険・医療国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険の資格確認書の返還、葬祭費の支給
税住民税の納税通知書の送付、バイク・自動車の廃車や名義変更
年金公的年金の手続き(遺族年金・寡婦年金・死亡一時金)、未支給年金の請求
障がい身体障害者手帳、愛の手帳、精神障害者保健福祉手帳の返還
子育て児童手当の受給者変更、児童扶養手当等の届出
その他被爆者への葬祭料、区営住宅・区民住宅、公害医療手帳

このほか、戸籍証明書等請求書や委任状の様式がそのまま綴じ込まれていて、切り取って使えるようになっています。法定相続情報証明制度の解説、区役所本庁舎のフロア案内図、区民葬儀券の案内も収められています。

冊子は大田区のホームページからPDFでダウンロードできます。全体を一括で落とすことも、必要な項目だけを選んで落とすこともできます。

予約制「おくやみコーナー」の使い方

冊子とあわせてぜひ使っていただきたいのが、おくやみコーナーです。

場所と受付時間

場所大田区役所本庁舎1階 10番窓口の横(戸籍住民課)
受付時間午前9時〜午後4時(土日祝・年末年始を除く)
所要時間1組あたり約30分が目安
予約電話03-5744-1185(平日 午前8時30分〜午後5時)

来庁されたら、フロアマネージャーか10番窓口の職員に声をかけてください。

予約方法

インターネットから予約できます。予約できるのは、当日から14日先までです。当日の予約は電話で受け付けています。

車いすをお使いの方や、手話通訳が必要な方など、配慮が必要な事情がある場合は、予約のときにお申し出ください。

ここで何をしてもらえるのか

おくやみコーナーでは、「おくやみ手続きガイド」をもとに、ご遺族の状況に応じて必要な手続きと担当窓口を整理して案内してもらえます。手続きの準備についての相談にも応じてもらえます。

つまり「自分の場合は何が必要なのか」を、最初に一度でまとめて把握できる場所です。手続きそのものは、その後に各担当窓口で行います。

使うときの注意点

ひとつだけ、時間の面で気をつけたい点があります。

おくやみコーナーの受付は午後4時までですが、各担当窓口の受付は午後5時までです。コーナーでの案内に30分かかることを考えると、遅い時間に行くと、案内を受けた後にその日のうちに窓口を回れない可能性があります。手続きまで一日で済ませたい方は、できるだけ午前中か昼過ぎの時間帯で予約されることをおすすめします。

なお、おくやみコーナーを使わずに、直接それぞれの担当窓口で手続きをすることもできます。手続きの内容がはっきりしている方は、そちらの方が早い場合もあります。

おくやみコーナー
おくやみコーナー

区役所以外でも手続きがあります

ガイドには、区役所以外の手続き先も一覧で載っています。見落としやすいところなので、主なものを挙げておきます。

対象手続き問い合わせ先
固定資産税支払い大田都税事務所
所得税支払い(準確定申告)住所地の税務署
不動産名義変更、法定相続情報証明の請求東京法務局城南出張所
厚生年金等未支給年金・遺族厚生年金の請求大田年金事務所
運転免許証返納警察署
シルバーパス返還東京バス協会
水道名義変更・解約水道局お客さまセンター
電気・ガス・NHK名義変更・解約各社
各金融機関名義変更・解約契約している金融機関
生命保険・簡易保険保険金の請求保険会社・郵便局

年金については、未支給年金と遺族年金の請求期限が亡くなった日から5年以内、死亡一時金は2年以内です。未支給年金を受け取れるのは、亡くなった当時に生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他3親等内の親族で、この順位で受け取ることになります。

無料で専門家に相談できる窓口もあります

大田区は、区民の方が無料で専門家に相談できる窓口を設けています。相続に関係しそうなものを挙げます。

分野担当日時場所
法律弁護士毎週月・水・金曜(予約制)本庁舎2階南側 区民相談室
行政手続行政書士第4木曜 午後1時〜4時本庁舎1階南側ロビー
登記司法書士第3火曜 午後1時〜3時本庁舎2階南側 区民相談室
不動産取引宅地建物取引士——

いずれも問い合わせ・予約は広聴広報課(03-5744-1135)です。日程は変更されることがあるので、区のホームページでご確認ください。

戸籍の収集や相続関係の整理といった行政手続については、行政書士の相談窓口があります。登記のことは司法書士、争いになっているものは弁護士、と相談先が分かれますので、まずは近い窓口で聞いてみて、必要に応じて案内してもらうのがよいと思います。

知っておきたい2つの制度

相続登記が義務になりました

2024年(令和6年)4月1日から、不動産の相続登記が義務化されました。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しなければならず、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料が科される可能性があります。義務化より前に発生した相続も対象です。

大田区内の不動産は、東京法務局城南出張所(鵜の木)の管轄です。

法定相続情報証明制度

相続の手続きでは、提出先ごとに戸籍の束を求められます。銀行が3行、証券会社が1社、法務局が1か所となれば、そのたびに戸籍を出し直すことになります。

法務局に戸籍一式と相続関係を示した図を提出すると、「法定相続情報一覧図の写し」が交付されます。これが戸籍の束の代わりになり、必要な通数を無料で受け取れます。預金口座がいくつもある方は、手続きを同時に進められるので、時間の短縮になります。

なお、2024年3月から、亡くなった方の本籍が複数の市区町村にまたがっていても、お住まいの自治体の窓口で戸籍をまとめて請求できるようになりました。大田区では本庁舎1階の戸籍住民窓口と、蒲田東を除く特別出張所(区内17か所)で取り扱っています。

元区議会議員・行政書士として思うこと

おくやみコーナーも、チェックリスト形式のガイドも、よく考えられた仕組みだと思います。担当された職員の方々の工夫が随所に感じられます。区民の皆さまには、ぜひ使っていただきたいと思います。

そのうえで、これからさらに良くしていける余地もあると感じています。

ひとつは、知られていないことです。この仕組みは、ご家族を亡くされて初めて必要になります。そのときに「そういえばこういうものがあった」と思い出せるかどうかで、ご遺族の負担は大きく変わります。死亡届を出す場面での確実な案内や、日頃からの周知に、まだできることがあるはずです。

もうひとつは、手続きそのものの負担を減らすことです。現在のおくやみコーナーは「何が必要かを案内する」場所で、手続きは各窓口で行います。自治体によっては、申請書を一括で作成したり、複数の手続きをその場で受け付けたりする運用を始めているところもあります。

区議会議員として防災安全対策特別委員会の委員長を務め、行政書士として許認可や相続の手続きに携わってきた経験から申し上げると、行政の手続きは、仕組みの工夫でまだまだ楽にできます。区民の皆さまが人生の大変な時期に、手続きで消耗しなくて済むように。そのための改善を、これからも考えていきます。

生前にできる備えもあります

ここまでは、ご家族を亡くされた後の手続きについてお伝えしました。最後に、遺す側ができる備えにも触れておきます。

遺された方の負担が最も重くなるのは、相続の部分です。遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、全員の合意と署名・実印の押印が必要になります。相続人が遠方にいる、疎遠である、といった事情があると、これだけで何か月もかかります。

遺言書があれば、その内容に沿って手続きを進められます。おくやみコーナーがご遺族の最初の負担を軽くするものだとすれば、遺言書は、その先の一番重い負担を軽くするものです。

私が運営する無料の遺言書作成サイト「遺言書AI」では、家族構成と財産を入力するだけで、遺言書の案文をPDFで作成できます。アプリのインストールも、会員登録も不要です。よろしければご活用ください。

参考リンク

よくある質問

Q. 大田区のおくやみコーナーはどこにありますか?

A. 大田区役所本庁舎1階、10番窓口の横(戸籍住民課)にあります。受付時間は午前9時から午後4時まで、土日祝日と年末年始を除きます。来庁されたら、フロアマネージャーか10番窓口の職員にお声がけください。

Q. おくやみコーナーは予約が必要ですか?

A. 予約制です。インターネットで当日から14日先まで予約できます。予約せずに各担当窓口で直接手続きをすることもできます。

Q. おくやみコーナーでは何をしてもらえますか?

A. 「おくやみ手続きガイド」をもとに、ご遺族の状況に応じて必要な手続きと担当窓口を整理して案内してもらえます。手続きの準備についての相談にも応じてもらえます。手続きそのものは、案内を受けた後に各担当窓口で行います。1組あたり約30分が目安です。

Q. 何時ごろに予約するのがいいですか?

A. 午前中か昼過ぎをおすすめします。おくやみコーナーの受付は午後4時まで、各担当窓口の受付は午後5時までです。案内に30分かかることを考えると、遅い時間だと案内を受けた後にその日のうちに窓口を回りきれないことがあります。

Q. 「おくやみ手続きガイド」はどこで手に入りますか?

A. 大田区のホームページからPDFでダウンロードできます。全体の一括ダウンロードのほか、必要な項目だけを選んでダウンロードすることもできます。

Q. 大田区で相続について無料で相談できる窓口はありますか?

A. 区民相談として、弁護士による法律相談(毎週月・水・金曜、予約制)、行政書士による行政手続相談(第4木曜 午後1時〜4時)、司法書士による登記相談(第3火曜 午後1時〜3時)があります。問い合わせ・予約は大田区役所広聴広報課です。日程は変更されることがあるため、事前に区のホームページでご確認ください。

Q. 大田区内の不動産の相続登記は、どこの法務局ですか?

A. 東京法務局城南出張所(鵜の木)です。2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければなりません。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。

Q. 年金の手続きはどこですればいいですか?

A. 大田年金事務所です。未支給年金と遺族年金の請求期限は亡くなった日から5年以内、死亡一時金は2年以内です。

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