遺言書の記述は正確に。せっかく残した遺言もあいまいではもめることに・・・

「せっかく母が遺言書を残してくれていたのにその表現が曖昧であったため無効となってしまった。」

正確な内容で遺言書を残せていないことで、遺言者の意思が結果的に尊重されない残念なことが起きてしまいます。

せっかく残した遺言書があいまいでもめる場合

ここでは無効になりやすい曖昧な遺言書の表現とはどんなものなのか、具体的な対処法を紹介していきます。

土地や不動産を特定できない

遺言書は身内にあてて書く文章です。そのため「〇〇県にある倉庫は長男に相続させる。」といった家族であれば何となく話が通じるだろうという書き方をしてしまう場合があります。

万が一、相続争いとなった場合に他の相続人から「どこの物件のことを指しているのか特定が不十分である」と言われてしまえば効力が弱まる可能性があります。

登記申請においても、正式な登記簿上の所在や地名地番、家屋番号が示されていない場合には拒否されてしまう可能性があるので注意が必要です。

また建物自体についての相続は書いているものの、その建物が建てられている土地、建物が面している私道についての相続について明示されていない場合も争いの原因となります。土地や不動産については登記や名義などを一から整理して、漏れのないようリスト化してから相続の検討をしましょう。

「任せる」という表現をつかってしまった

遺言書で「相続については長男に全て任せる」というような表現をしている場合は効力が無効となってしまいます。

そもそも「任せる」という表現だけでは、長男に全て遺贈するという意思なのか、それとも相続の分割手続きについて長男を中心に行って欲しいという意思なのか、どちらとも読めてしまいます。そのため「任せる」「委任する」という曖昧な表現をされている遺言書の場合、最終的には遺言者の置かれていた状況や経緯などから総合的な判断により裁判所が解釈を決定することとなります。

正しく表現で有効な遺言書を書くには

遺言書はいつでも何度でも作成が可能ですが、効力の発揮されない遺言書を残すことはかえって相続争いを生む種となってしまいます。

このように曖昧な表現によってトラブルとなる事例は自筆証書遺言であることが圧倒的に多いです。そのため手軽ではなくお金はかかりますが、遺言書を作成する際には公証役場で公正証書による遺言書の作成をすることをおすすめします。

また遺言書を書く時に財産目録を添付しておくことで、書く側も漏れなく財産の相続先を整理できて、受け取り側もスムーズに分割協議をふることが可能となります。財産目録を書く時にも、登記所の正式な表記、預金の口座番号まで特定できる情報、ジュエリーなど物品金物についてはブランドや保存先を表記した特定できる情報を書くことで有効性を発揮します。

遺言書の表現があいまいだった場合には?

あいまいな表現の遺言書の場合でも、相続人全員の同意の上で分割協議による相続が決められた場合は円満解決ということで何も問題ありません。

相続人のうち1人でも曖昧な表現を理由に不服を申し立てて同意がなされない場合は、
司法の力を借りることとなります。
具体的には裁判所へ遺言無効確認調停か遺言無効確認訴訟の申立ての申立てを行うこととなりますが、多くは調停を経ずに訴訟となるケースが多いです。
申し立てについては時効はなく、亡くなってから何年経った後でも可能ではあります。しかし訴訟となれば長ければ1年以上の時間と労力が掛かるため、それなりの覚悟で挑む必要があります。

相続は遺言者が生前の感謝や恩返しを形にするための最後の手段です。遺言者の最後の意思を尊重した相続を行うためにも、正しく遺言書を作成して死後にトラブルとならない環境を整えておくことが大切です。自筆による遺言も可能ではありますが、判断能力がある元気なうちにプロを交えた遺言書・財産目録の作成を行なっておくことを強くお勧めします。