行政書士おかたかしです。今回の相続コラムは、 離婚と相続 について。離婚後に元夫が亡くなった場合に元妻や子供は相続を受け取ることができるかについてです。
1.元配偶者は離婚後に相続は受けられない
配偶者は法定相続において常に相続権があるなど子供よりも優先的立場にあります。
しかし、熟年離婚など長年連れ添った夫婦が離婚した場合でも、離婚後に亡くなった場合に元配偶者には一切の相続権はありません。
元配偶者は離婚後には第三者と同じ扱いになるため、遺言書に記載がない限りは相続が発生しないことを知っておきましょう。
2.親が離婚しても子供は相続を受けられる
離婚する際に子供が未成年の場合には親権を夫か妻のどちらにするのかを決めなければなりません。
妻が親権を持ち、離婚後に元夫が亡くなった場合の相続については、元配偶者の妻は相続権がない一方で、子供には親権の有無に関わらず第一順位の相続人として相続権が発生します。
親が離婚していても子供には、平等に相続権があるのです。
遺言書がない場合は、相続人の全員がないと遺産分割ができません。特に、母親が違う子供がいる場合は、生前に遺言書を作成して、相続に備えましょう。
3.再婚先で子供が養子となった場合
両親が離婚をしても子供は常に第一順位の相続人でありますが、再婚先で養父の養子となった場合でも実父の相続をすることはできるのでしょうか?
まず養子となるには普通養子縁組と特別養子縁組の2種類があります。
普通養子縁組とは離婚後も実親との親子関係を残しながらも、新たな養親とも親子関係となることを言います。そのため普通養子縁組の子供は二重の親子関係を持っていることとなります。
特別養子縁組は5歳までの子供に適用でき、実親との縁は残さずに養親の実子同様の扱いとして親子関係をもつことを言います。
一言で養子と言っても、実親が亡くなった時に相続を受けられるかどうかは普通養子縁組と特別養子縁組で変わってきます。
普通養子縁組については実親と養親どちらとも親子関係があり、どちらが亡くなった場合も実子と同等な法定相続人となります。
特別養子縁組については実親との縁は切れてしまっているため、実親が亡くなった場合には相続をすることができません。特別養子縁組は相続においても実子と同様の扱いとなることに注意が必要です。
4.離婚後に子供は代襲相続をできるのか
離婚後に元夫の父(子供からみた祖父)が亡くなった場合、元夫がすでに亡くなっていたら子供は代襲相続をできるのでしょうか?
これについては元夫と子供の親子関係が継続しているため、離婚に関わらず代襲相続をすることは可能となります。子供が元夫と普通養子縁組であった場合も、同様に代襲相続が可能です。
このように子供の相続と親の離婚は、特別養子縁組の場合を除いて無関係であり、実子と養子は同等に扱われる事を知っておきましょう。
5.離婚後 前妻の子に相続させない方法
子供が産まれてすぐに離婚をしてそこから疎遠になっていたりする場合には、再婚先の実子により多くの遺産を残したいので 前妻の子に相続させない ようにしたいと思うこともあるでしょう。
相続権のある 前妻の子に相続させない方法 はあるのでしょうか。
相続をゼロとすることはできませんが、
遺言書を作成をすることで再婚先の実子へより多くの遺産を分配する事は可能です。
遺言書による相続には、法定相続人が最低限受け取れる相続分である「遺留分」が定められているため、遺留分については前妻の子が受け取ることとなります。
早い段階で再婚先の子へ生前贈与を行う事も遺産全体を減らすこととなるので効果的です。
死亡前10年間の生前贈与は遺産として扱われる事と、生前贈与を行っても遺留分は発生することに注意が必要です。
相続をなくす手段としては、前妻の子自身に相続放棄をしてもらうことが挙げられます。相続放棄をしてもらいたい事情を説明して本人が納得の上で相続を放棄した場合には、再婚先の子へ全ての遺産を相続できます。
離婚後は元配偶者には一切の相続権がなくなる一方で、子供の相続については法律でしっかり保証されています。
子持ち離婚した後に再婚する場合には子供の存在を必ず伝えておくなど、自分が亡くなった後に相続トラブルとならないような準備をしておくことが重要です。特に、前妻の子の存在を再婚者との子が知らない場合は、自分が亡くなる前に準備をしておきましょう。
岡高志行政書士事務所では、遺言書自動作成サイト 遺言書AI を運営しております。無料ですので、お気軽にご利用ください。
なお、離婚協議書は下記のサイトで、自動作成できますので、お試しください。