もと大田区議会議員で行政書士のおかたかしです。
大田区の2020(令和2)年度予算案が公表されました。
自治体の予算案は、ふつうの区民も知っておいた方がいいのです。わがまちの私たちの税金がどう使われるのか。
大田区にかぎらず自治体・国の予算案は議会で喧々諤々審議されますが、ほぼ案どおりに決定されるものです。4月からわがまちがどんなことに税金を使うのか、この2月の案の段階で知っておくことはいいことです。
とはいえ、予算書はわかりにくい。
そんなわけで、区議会議員の経験を生かして、大田区の公開資料から大田区の2020(令和2)年度予算案を簡単解説するので、参考にしてください。 基本的には、大田区の予算案説明文を引用します。
本来は、みなさまの税金で給料を得ている現職の区議会議員の仕事だと思いますけどね・・・
予算規模は、一般会計で2,873億円、前年度比55億円(1.9%)増
キャッチコピー 「防災力の強化・新しい世代の礎となる予算」と掲げて、 4つの重点分野ごとに区役所から事業紹介されているので、分野ごとにいくつか抽出して解説します。
出産・子育て・教育
- 待機児童対策の推進 (認可保育所の整備、認証保育所の認可化移行、 ベビーシッター利用者への支援拡大(0歳⇒0~2歳)など) (56 億 円)
- 特定不妊治療費助成事業の開始(4,383 万円)
治療費1回につき50,000 円 or 25,000 円を上限 - 離婚と養育費にかかわる総合相談(77 万円)
子どものいる区民向けの離婚問題等の弁護士による法律相談、年4回実施 - 小学校のICT教育環境整備の拡充(2 億 1,576 万円)
タブレット 追加後 4.2 人/1台 - 小中学校体育館等空調設備の整備(3 億 4,481 万円)
設置予定校数 33 校、令和3年度までに完備の予定 - 校舎の改築(55 億円)
新たに北糀谷小学校、馬込東中学校について、事前調査スタート - 不登校対策事業の推進(2 億 3,157 万円)
- (外国籍の子ども向け) 「こども学習支援ボランティア」の養成と夏休み学習教室の開設 (33 万円)
- 高校進学予定者に対する給付型奨学金の創設(1,060 万円)
高校などに進学する住民税非課税世帯の生徒に、入学前の3月に8万円を給付
高齢者支援・健康づくり
- 人生 100 年時代における老いじたくの推進(234 万円)
弁護士や社会福祉士による老いじたく相談会を定期的に開催 - おくやみコーナーの開設(234 万円)
区役所及び区役所以外での各種手続きを案内するパンフレットを作成し、必要な手続きの説明などを案内する「おくやみコーナー」を設置 - 成年後見制度利用促進中核機関の設置(121 万円)
- 大田区若年性認知症支援相談窓口の新規開設(2,032 万円)
地域包括支援センターたまがわ内に開設。2名のコーディネーターが支援に取組 - 医療相談窓口(看護師常駐のコールセンター)開設事業(516 万円)
- 大田区奨学金 人材確保型特別減免制度の創設(117 万円)
区内に在住で継続して3年間区内福祉関連施設等に勤める有資格者(介護福祉士、社会福祉士、保育士、幼稚園教諭等)をを対象に、区奨学金返還額を最大で半額減免 - はねぴょん健康ポイントの充実(5,584 万円)
健康ポイント制度(ポイントに応じて、抽選で景品をプレゼント)を継続 - 「キラリ☆健康おおた」の推進(334 万円)
健康寿命延伸のための4つのアクション(①適度な運動、②適切な食事、③休 養、④喫煙・飲酒のリスクの理解と行動)及び健康診断・がん検診の受診推奨の取り組みを「キラリ☆健康おおた」と称し、広報物を発行 - 受動喫煙防止対策(1,925 万円)
おおむね大田区の予算案は部長査定の後の区長査定で大きく変わらないのですが、この受動喫煙防止対策予算は、5割カットの区長査定になっています。
次項で記載する「屋外の喫煙対策」の推進にフォーカスを当てる割には腰が引けてると思われます。
安全・安心、環境分野
- 災害への備えの更なる強化(5 億 9,434 万円)
田園調布地区内水解析検討、水防資機材センター建設工事、マイ・タイムライン普及促進、企業防災普及啓発、子ども向け防災ハンド ブックの作成、全区立小学校に防災ヘルメット配備など - 呑川の水質改善対策 (合流改善貯留施設の整備・高濃度酸素水浄化施設設置工事) (4 億 1,310円)
合流改善貯留施設を整備するため、東調布公園の一部を下水道工事の作業ヤードとして整備します。 屋外プールが2年間使えなくなるものと思われます。 - 屋外の喫煙対策(1 億 2,601 万円)
こちらのブログをご参照ください。
https://okatakashi.net/archives/6563 - 羽田空港跡地における成長戦略拠点の形成(9 億 4,883 万円)
- 池上駅改築支援及び池上地区のまちづくり(12 億円)
- 新空港線の整備主体設立及び関連事業(1 億 9,831 万円)
下のブログもご参照ください。 - 無電柱化の推進(5 億 1,100 万円)
無電柱化整備等予定路線
補助第 38 号線[東糀谷・羽田旭町]、補助第 43 号線[仲池上] 、補助第 44 号線[上池台] 、大田区画第1号線[北千束] 、区道主要第 10 号線[大森北]、区道主要第 94 号線[羽田]
オリンピック・パラリンピック関連
- おおたウエルカムボランティア(2,529 万円)
- ブラジル選手団の事前キャンプ受け入れ(1,102 万円)
- 東京 2020 大会気運醸成事業(1,870 万円)
- 聖火リレー記念銘板を「大森ふるさとの浜辺公園」に設置(550 万円)
- ランニング環境の整備 (322 万円)
大森スポーツセンターに、ランニングステーションを整備 - ナイトタイムコンテンツによるインバウンド誘致(1,108 万円)
具体的な内容は不明だが、神奈川県がやっている インバウンド向けパンフレットにジョイントしようとするものと思われます。
https://trip.pref.kanagawa.jp/img/static/nightlife-pamphlet.pdf - 小中学生の東京 2020 大会競技観戦(3,495 万円)
- スマート商店街実証実験事業(5,000 万円)
モデル商店街にICT技術を導入し、リアルタイムでデータ収集を行う。天候情報や地域のイベント情報などを加え、ビッグデータによる分析を行う。商店街が抱える課題を見える化し経営戦略に利活用する。この実証実験の成果を区内商店街と共有し、持続可能な商店街の確立を目指します。
なんだか コンサル会社に税金払って終わり 企画と思われます。
シルバーデモクラシーが色濃い 大田区政
「新しい世代の礎となる予算」とのキャッチコピーの割には、高齢者向けの新しい施策が目立ちます。
高齢者の集まる集会での区長スピーチでのバズワードに活用されるのでしょう。
高齢化率が22.6%と高いから必要はあるのかと理解しつつも、
御年77歳の区長の興味関心は、100歳までどう生きるか かと思われます。
所管部要求予算→予算編成担当部長査定→区長査定
が公表されてます。
※予算案の詳細は大田区のWEBをご参照ください。
https://www.city.ota.tokyo.jp/kuseijoho/suuji/yosan_kessan/yosan/r02yosan/20200210104530436.html