労働者協同組合 設立は行政書士へ

労働者協同組合 設立 会社設立・会社登記

 2022年10月 新しい法人制度としてスタートした 労働者協同組合

 会社設立は行政書士の主要業務のひとつです。特に、定款作成のほか行政庁への届出も必要な 労働者協同組合 設立については、行政への申請書類作成が得意な行政書士にお任せいただきたい分野です。

労働者協同組合とは?

2022年10月施行 労働者協同組合法 に基づきます

 労働者協同組合 とは、労働者が組合員として出資し、その意見を反映して自ら従事することを基本原理とする組織です。地域のみんなで意見を出し合って助け合いながら、地域社会の課題を解決していこうという、 新しい法人制度です。

 こうした地域社会の課題に関しては、既に NPO法人 や企業組合等、様々な法人形態があります。労働者協同組合は、地域社会の課題の解決のために活動を行おうとする方々の選択肢を広げ、こうした活動を一層促進させるものです。

 2022年10月に施行された労働者協同組合法は、この労働者協同組合の設立や運営、管理などについて定めた法律です。この法律では、労働者協同組合は、以下①から③の基本原理に従い、持続可能で活力ある地域社会に資する事業を行うことを目的とするよう定めています。①組合員が出資すること、②その事業を行うに当たり組合員の意見が適切に反映されること、③組合員が労働者協同組合の行う事業に従事すること。

労働者協同組合 主な特色と運営ルール

労働者協同組合の主な特色は以下の7点です。

  1. 地域の多様なニーズに応じた事業実施
    労働者派遣事業を除くあらゆる事業が実施可能。
    そのため、介護・福祉関連、子育て関連、地域づくり関連など、地域の多様なニーズに応じた事業を実施できま す。ただし、許認可等が必要な事業はその規制を受けることに留意が必要です。
  2. 組合員は平等に1人1議決権
    株式会社と異なり、出資額にかかわらず、平等に1人 1票の議決権と選挙権を有することになります。
  3. 簡便な法人格の取得
    NPO 法人や企業組合と異なり、行政による許認可等を必要とせず、法に定められた要件を満たし、登記をすれば法人格が付与されます。
  4. 組合員に対する労働契約締結
    労働者協同組合は組合員との間で労働契約を締結します。
    これにより、組合員は、労働基準法などの関係法令による労働者としての保護を受けることになります。
  5. 出資配当不可
    剰余金の配当は、出資額に応じて行うのではなく、組合員が労働者協同組合の事業に従事した程度に応じて行います。
  6. 都道府県知事による指導監督
    都道府県知事に決算関係書類等を提出する必要があるなど、都道府県知事による指導監督を受けます。
  7. 一定要件を満たすと NPO 法人並みの法人税負担
    「定款に剰余金の配当を行わない旨の定めがある」、「定 款に解散時の残余財産について出資額を超える財産は国 等へ帰属する旨の定めがある」等の一定の要件を満たした労働者協同組合については、都道府県知事による 特定労働者協同組合 としての認定を受けることにより、各事業年度の所得のうち収益事業から生じた所得以外の所得について非課税となるなど、公益法人等に係る取扱いが適用されます(公益法人等の軽減税率及び寄付金の損金不算入制度の適用はありません)。

運営ルールがあり、定款に反映しなければなりません。

  1. 事業のルール(事業の種類は原則自由、事業従事の人数要件)
    労働者協同組合は、労働者派遣事業を除くあらゆる事業が実施可能です。労働者協同組合が行う事業については、組合員全員で取り組むことが原則となりますが、実際の事業運営上の必要性を鑑み、 組合原理を損なわず、事業活動に柔軟性を持たせるため、事業に従事する人数に要件を設けています。
    具体的には、総組合員数の5分の4以上の組合員は、労働者協同組合の行う事業に従事することが必要です。 これは、事業に従事する意思はあるものの、家庭の事情等で従事できないなどのケースを想定しており、そのような組合員が一定程度存在することを許容するものです。
    また、組合事業に従事する者の4分の3以上は、組合員でなければなりません。これは、実際の事業活動においては、繁忙期における人手不足などで非組合員であるア ルバイトを事業に従事させる必要が生じる可能性がある ためです。また、出資額の全額の払込みが完了した段階で組合員となることが法定されているため、従事しながら組合員になろうとする方も出てくることが想定されます。
  2. 配当のルール(従事した程度に応じた配当)
    健全な運営を確保するため、労働者協同組合は、①準備金、②就労創出等積立金、③教育繰越金を確保する必要があります。
    ①は毎事業年度の剰余金の 10分の1以 上、
    ②③は毎事業年度の剰余金の20分の1以上の額です。
    労働者協同組合は、損失を填補し、①~③を控除した後に、組合員が事業に従事した程度に応じた配当を行うことができます。
  3. 組合員のルール
    ①組合員の出資金
    出資一口の金額、必要な出資口数はそれぞれ労働者協同組合で決めます。
    一人の組合員の出資口数は、原則、総口数の 100 分の 25 以下とされています。
    組合員の責任は出資額が限度です。仮に労働者協同組合が破産した場合でも、組合員は出資額を超えて責任を負うことはありません。

    ②組合員の議決権・選挙権
    組合員は、平等に一人一票の総会における議決権と役員選出のための選挙権を持っています。
    株式会社の一株一票とは異なり、お金ではなく人を中心に置く労働者協同組合の特徴を表しています。 労働者協同組合の意思決定は労働者である組合員が行うという観点から、労働者協同組合と労働契約を結んだ組合員が、議決権の過半数を持たなければなりません。

    ③労働者協同組合への加入・脱退
    組合員になることができるのは個人です。団体や組織が組合員になることはできません。
    組合員は任意に加入・脱退ができます。
    労働者協同組合は、組合員としての資格を持つ人が加入しようとする場合、正当な理由(※)なく加入を拒否できません。加入や脱退には手続が必要です。除名についての規定もあります。組合員の脱退は直ちに労働契約の終了とはなりません(別途手続が必要です)。
    (※)仕事の空きがない、その仕事を行うために資格が必要等

    ④労働契約の締結
    労働者協同組合は、事業に従事する組合員と労働契約を結ばなければなりません。
    これにより、組合員は労働基準法や最低賃金法、労働組合法などの労働関係法令が適用され、社会保険(健康保険、厚生年金保険)や労働保険(雇用保険、労災保険)にも加入ができます。
    業務を執行する組合員(代表理事)、理事の職務のみを行う組合員(専務理事)、監事である組合員は、労働契約を締結することはできません。これらの役員は労働者協同組合と委任契約を結ぶことになります。

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詳細は、厚生労働省のサイトもご参照ください。

労働者協同組合 設立の流れ

労働者協同組合の設立の流れは以下の通りです。

発起人を3人以上集める

必要書面作成

定款、事業計画書、収支予算などを作成。

定款については下記ご参照ください。

創立総会の公告・創立総会

創立総会の2週間前までに日時、場所、定款を公告。
総会では、定款の承認のほか、事業計画書、収支予算 の議決、役員( 理事・監事)の選挙などを行う。

出資の払込み

代表理事は、組合員に第1回目の出資の払込みをさせる。

設立の登記(組合の成立)

法務局に設立の登記の申請をする。

設立の届出

登記後2週間以内に、行政庁( 主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事)に届出。

事業開始の準備

社会保険・労働保険の加入、36協定・就業規則の届出。
税務関係の届出などを行う。

事業の開始

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労働者協同組合 定款について

 労働者協同組合法第29条に定款について定めがあります。ご自身の組合運営ルールに即して、定款を作成することとなります。

行政書士に依頼して、定款を作成することもできます。ご依頼いただけますとお役に立ちます。

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組合の定款には、次に掲げる事項を記載しなければなりません。

  1. 事業
  2. 名称
    “労働者協同組合” は前後につけてください。
  3. 事業を行う都道府県の区域
  4. 事務所の所在地
  5. 組合員たる資格に関する規定
  6. 組合員の加入及び脱退に関する規定
  7. 出資一口の金額及びその払込みの方法
  8. 剰余金の処分及び損失の処理に関する規定
  9. 準備金の額及びその積立ての方法
  10. 就労創出等積立金に関する規定
  11. 教育繰越金に関する規定
  12. 組合員の意見を反映させる方策に関する規定
  13. 役員の定数及びその選挙又は選任に関する規定
  14. 事業年度
  15. 公告方法
    公告方法は、組合の事務所の店頭に掲示する方法のほか、官報に掲載する方法、日刊新聞紙に掲載する方法、電子公告、のいずれかを定めることができます。

組合の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項及びその他の事項でこの法律に違反しないものを記載することができます。

特定労働者協同組合 とは?

 労働者協同組合は、一定の要件を満たし、都道府県知事から認定を受けることにより、 特定労働者協同組合として、税制上、 NPO法人と同等の取扱いが適用されます。ただし、NPO 法人と同様の寄付金の損金不算入制度等の適用はありません。

 特定労働者協同組合 を目指すのであれば、当初定款にも要件を反映しておきましょう。

特定労働者協同組合の認定基準

 特定労働者協同組合の認定を受けるためには、次の1.~4.の基準に適合する必要があります。

  1. 定款に、剰余金の配当を行わない旨の定めがあること。
  2. 定款に、解散時に組合員に出資額限度で分配した後 の残余財産は国・地方公共団体・他の特定労働者協同組合に帰属する旨の定めがあること。
  3. 上記1. 2.の定款違反行為を行うことを決定し、又は行ったことがないこと。
  4. 各理事の親族等の関係者が理事総数の3分の1以下であること。

特定労働者協同組合の特有のルール

 特定労働者協同組合については、通常の労働者協同組合に適用されるルールに加えて、次の1.~7.のルールを遵守しなければなりません。

  1. 特定労働者協同組合は、剰余金の配当をしてはならないこと。
  2. 特定労働者協同組合は、毎事業年度初めの3月以内に、報酬規程等を作成し、主たる事務所に5年間、従たる事務所に写しを3年間、備え置かなければならないこと。
    ・前事業年度の特定労働者協同組合の事業に従事する者に対する報酬及び給与の支給に関する規程
    ・前事業年度の役員名簿(役員の氏名及び住所を記載した名簿をいう。)
    ・役員に対する報酬の支給の状況
    ・給与を得た職員の総数及び当該職員に対する給与の総額に関する事項
  3. 特定労働者協同組合は、報酬規程等、定款、貸借対照表又は損益計算書の閲覧の請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧させなければならないこと。
  4. 特定労働者協同組合は、毎事業年度1回、報酬規程等を都道府県知事に提出しなければならないこと。
  5. 都道府県知事は、特定労働者協同組合から提出を受けた報酬規程等、貸借対照表若しくは損益計算書(過去5年間に提出を受けたもの)又は定款について閲覧又は謄写の請求があったときは、これらの書類を閲覧させ、又は謄写させなければならないこと。
  6. 特定労働者協同組合は、外部監事を置かなければならないこと。監事の代わりに組合員監査会を設置することができる規則は、特定労働者協同組合には適用されないこと。
  7. 解散時の残余財産の分配は、特定労働者協同組合の債務を弁済してなお残余財産があるときは、これを組合員に対し、その出資額を限度として、出資口数に応じて分配し、なお残余財産がある場合、その財産は、定款で定めるところにより、国若しくは地方公共団体又は他の特定労働者協同組合に帰属させること。

 以上のほか、都道府県知事は、特定労働者協同組合が一定の事由に該当するときは、認定を取り消すこととされています。

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労働者協同組合 設立

法人格の違いは過去記事: 会社設立 法人格の違い をご参照ください。

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