行政書士おかたかしです。今回の相続コラムは、 おひとりさま が亡くなった場合の相続順位についてご説明します。
1.おひとりさま の法定相続人は誰?
1990年代以降、日本では生涯未婚率が年々上昇しており、独身の暮らしを謳歌するおひとりさまも珍しくはない存在となっています。では結婚をしておらず妻や子の存在がないような人の相続はどのように発生するのでしょうか。
法定相続人とは、法的に相続を受ける権利を認められている人をさし、
法定相続分が、各法定相続人が相続できる遺産割合として定められています。
遺言書がある場合や、相続人全員の合意による遺産分割協議を行う場合を除いて、通常はこの法に基づく相続を行うことが一般的です。
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では、法定相続人は具体的にどのような関係の人が当てはまるのでしょうか?
法定相続人は「配偶者」「子供」「両親」「兄弟姉妹」が対象となります。
子供については離婚後の親権の有無に関わらず相続権が発生します。また婚外子であった場合でも認知をしていた場合には、通常の子供と同様な相続権が発生するので注意しましょう。もし子供が先に亡くなっていて孫がいた場合には、孫が代襲相続することとなります。
子供がいないで両親がご存命の場合には、両親が相続人となります。両親が亡くなっていて祖父母がご存命の場合には祖父母が相続権を得ることとなります。
兄弟が亡くなっていた場合には代襲相続として甥や姪が相続権を引き継ぎます。
このように配偶者以外にも相続人はいるため、おひとりさまでも相続は発生することを理解しておきましょう。
2.相続順位とそれぞれの法定相続分
法定相続人の相続順位
法定相続人となる「配偶者」「子供」「両親」「兄弟」の相続順位はどうなるのでしょうか?
「配偶者」がいる場合、常に相続権を持ちます。
配偶者に加えて「子供」「両親」「兄弟」の順位で相続権が発生することとなります。
第一順位となる子供がいる場合には第二順位の両親、第三順位の兄弟は相続権は得られないことに注意が必要です。
法定相続分とは
法定相続分とは、遺言書がない相続の場合に遺産全体を分配するために法で定められた相続割合のことを言います。
遺言書があった場合に最低限保証される相続割合をさす遺留分とは異なることを知っておきましょう。
法定相続分については相続順位によって割合が変わってきます。
配偶者がいる場合には「子供」は2分の1、「両親」は3分の1、「兄弟」は4分の1、配偶者はそれぞれの割合に対する残り全てが法定相続分となります。
また子供、両親、兄弟がそれぞれ複数人いる場合には、それぞれに決められた法定相続分を均等に分配することとなります。
例えば配偶者と両親がご存命で子供がいない場合、配偶者に3分の2、母親に6分の1、父親に6分の1(両親合わせて3分の1)の相続が発生します。
これを踏まえると、おひとりさまの場合の相続は配偶者がいないため、「子供」「両親」「兄弟」の相続順位で誰かしらが全ての遺産を相続することとなります。
おひとりさまが亡くなって法定相続分に従った相続を行った場合、「子供」「両親」「兄弟」のいずれかに遺産が偏ってしまうこととなります。
ご自身が亡くなった後、誰かが遺産を受け取れないことで身内同士の相続トラブルが起きることを防ぐためにも、おひとりさまこそ遺言書を書くことを強くおすすめします。
遺言書は遺留分や書式を守った有効なものとして残すためにも公正証書遺言とし、生前のうちに相続人へ遺言書を残している旨を伝えておきましょう。