大田区議会 平成28年第2定例会 一般質問での私の発言内容をアップします。
今回は、会派を代表しての質問で、答弁者が区長と教育長になります。
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2020年に向けての区政課題
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの後は、景気の後退リスクが強まる。そこに向けて産業政策は力強い推進が求められる。
大田区における大きなテーマのひとつは
羽田空港跡地
空港跡地第1ゾーンにつきましては、産業・交流施設、多目的広場を整備することとされております。
多摩川を隔てて向かい合う川崎殿町地区は、空港跡地第1ゾーンと比較すると圧倒的な規模感で推進されている。空港跡地第1ゾーンが駅前広場を除いた業務領域の面積が3haにも満たないのに対して、川崎殿町のKawasaki INovation Gateway KINGスカイフロントは、40haを確保している。
川崎殿町は、ライフサイエンス・環境分野でのイノベーションを図るゾーンでほとんどの区画に事業所・研究所の進出が決まっています。
大田区の空港跡地第1ゾーン整備は川崎殿町地区に対してどのような位置付けで計画を検討されるのか。
また、川崎殿町地区との連携をどのように構想されているのか?
相互にメリットがある成果の創出につなげる機能を持たせることは重要な取り組みのひとつです。
文化芸術の振興
2020年に向けて、文化芸術の振興も重要です。オリンピック憲章によれば、
オリンピズムはスポーツを文化、教育と融合させ、 生き方の創造を探求するものである。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、文化芸術の振興が求められており、
子供から高齢者まで、あらゆる人々が創作活動へ参加、鑑賞体験できる機会を大田区でも提供することが求められます。
文化芸術の振興は、極めて重要なテーマであり、
区長のトップの旗振りも重要である。
4年前の私の代表質問では、
文化振興担当部署を教育委員会から分離する形で区長部局に設置することを強く求めました。
そして、今年度から文化振興課が設置されました。
どのような経緯で文化振興課を設置されたのか、そして大田区の文化振興においてどのような役割を期待するのか?
ものづくりのまち、商店街、銭湯、なども文化である。自然環境や景観も地域固有の文化である。
そうした様々なものと連携して、文化を振興発展させるために、文化振興課を設置しました。
昨年の代表質問で私は、
トリエンナーレ、ビエンナーレと言われるようなアートのまち歩きイベントは、文化・芸術振興の切り札になると申し上げました。
たとえば、商店の空きスペースに芸術作品を展示する、商店街の箇所箇所に芸術作品を展示すると商店街がアートの街として魅力を高めていくでしょう。
大田区で盛り上がりつつある動きのひとつに、大森アートフェスティバル。参加しているギャラリーも増えてきて、この街に根付くアートの広がりが可視化されつつある。さらに、行政も支援することで、大田区における芸術が爆発的に盛り上がるのではないか。
行政の積極的な支援も検討の時期にきています。
まちづくりと産業振興
東工大との産学連携
大岡山の東工大では、産業振興・まちづくりなどさまざまに産学連携の取組を推進している。
東京工業大学との事業連携、協力の基本協定は、来年4月には5年の期限が終了します。
今までの東工大との連携・協力をどのようにとらえるのか?そして、今後の関係について区長はどのように構築されるのか?
非常に有意義である。
区内産業の発展、人材育成など多様な連携・協力を深めてまいります。
ベンチャー支援
大田区と東工大の連携事業である戦略的イノベーション創造プログラムというのがありまして、関連して昨年度、東工大石川台キャンパスにものづくり工房が整備されています。いわゆるファブラボであるだけでなくて、計測設備も整っています。
東工大の様々な分野の専門性、大田区の製造業のスキルも連携して、新しイノベーションが生まれる施設だと感じます。
大田区としても、東工大との連携・協力関係に鑑みると積極的に関与するべきと感じます。
大学院生や研究者に向けた新しい助成金制度創設や、ベンチャーファンド組成、
大岡山周辺での創業の場所の提供、など
大学発ベンチャーの支援はどうか?
産業振興協会のインキュベーションマネージャーによって、支援を行っており、
今後も大学発ベンチャーの支援・誘致を積極的に支援していく。
そうした、
東工大を中心とした大岡山でイノベーションが息づいている魅力的なまちづくりが、私が提唱する 大田スプリングバレーです。
勝海舟記念館
大岡山・千束地区の魅力向上のために、勝海舟ミュージアムの整備をと議員1年目のころから提言し続けてまいりまして、今、6年目になります。
当初、申し上げたのは、例えば、吉祥寺は井の頭公園があり東京でも「住みたいまち」の上位にランクされますが、洗足池もそれに劣らぬ魅力がある。 なのに、今ひとつ知名度がない。
洗足池はお墓もある勝海舟さんとの関連性を強調した「勝海舟ミュージアム」を整備すれば、いろんなタイミングで東京の人に洗足池の魅力をアピールできます。 洗足池の知名度を高めて「住みたいまち」に選ばれるようになってもらいたい。
東工大を中心としたイノベーションが生まれる大田スプリングバレーと勝海舟記念館のある洗足池が一帯として、強い魅力を放つまちになると思います。
勝海舟記念館が魅力的な施設となるには、ただ作るだけでなくて、価値のある企画展などが継続して実施されるべきである。
今後の運営はどうするのか?
整備事業検討委員会で、学識経験者や地域代表の方々から意見をいただいてきた
今後の運営についても、国内外から来館者が訪れる施設とするべく、管理のあり方や展示の方法について、引き続き学識経験者や地域代表の方々から意見をいただく。
あたたかい福祉
自治体の中心的な使命は、
住民福祉の向上であります。
次を生きる子どもたちも安心できるような持続可能な財政基盤において、あたたかい福祉サービスが提供されるべきです。
介護保険の適正化
介護保険会計が、発足時の平成12年度は138億円から、平成26年度で438億円と、年々増加しています。事業者に対する、利用者からのクレームも増えていると思われます。
住民にとって必要なサービスを提供する適正な介護事業を確保できるように、区役所の職員体制整備も含めてしっかり指導していただきたいが、いかがでしょう?
社会福祉法人の内部留保
社会福祉法人の内部留保が多すぎないかと指摘している。
さらに、社会福祉法人が区の福祉施設の指定管理をつとめるにあたって得られる収入が比較的大きいのではないかとの調査もあります。
すなわち、区の税金で社会福祉法人の内部留保を膨らませたともいえます。
また、内部留保が膨らんでいく前に、単年度の収支差を人件費支出に振り向けていく事業者の姿勢も必要でしょう。
改正社会福祉法では、来年度から、社会福祉法人は内部留保の利用計画を定めることになります。利用計画策定の段階から、区も連携して、大田区のあたたかい福祉の実現をはかるべきです。今後の対応方針をお聞かせください。
子育て・教育
学校ICT
2020年には大学入試改革もあり、それまでに新しい21世紀型スキルをもつ人材育成が急務となっており、文部科学省の有識者会議「デジタル教科書の位置付けに関する検討会議」では、2020年にデジタル教科書の導入を提言している。
一方、デジタルデバイスの費用負担は保護者負担としている。
教育の格差解消の観点から、区がデジタル教科書の整備費用を前向きに負担してほしい。
昨年の11月の一般質問でも申し上げたのですが、文部科学省の学校における教育の実態等に関する調査によれば、大田区の小学校の教室へのLAN整備率や、電子黒板の普及率はたいへん低い水準であります。
全国の水準にキャッチアップしなければ、
デジタル教科書の整備費用の検討もままならない状況です。
そうした意味で早い段階から、教育のICT活用にかかる予算を厚くするべきだろう。
機器を効果的に活用することが重要。
今年度は、全ての中学校の普通教室に校内LANを整備し、電子黒板を3セット設置する。
今後も、ICTモデル校の成果を踏まえて、ICT機器の整備に取り組んでいく。
大田区のICTモデル校である、蒲田中学校と北糀谷小学校を視察させていただきました。
ベテランの先生は、デジタル機器に習熟していないと思われがちですが、指導力に長けているので、デジタル機器も指導のツールのひとつに取り込んでわかる授業が実現できています。
ICTモデル校では、
すべての普通教室にスライド式電子黒板が配備されています。各教員のタブレットPCが接続できます。
そこにデジタル機器が存在することで、日常からICTを活用したわかる授業が実現できます。
これが、かりに他の場所から電子黒板を運んでこなきゃいけない、など普通教室にデジタル機器がない環境であれば、それだけICTの活用が低迷するでしょう。
ICTモデル校でさえも、
生徒児童向けのタブレット配備台数はひとクラス分程度にとどまっています。
これでは、日常的な使用に限界があるとの声も聞かれています。
2020年のデジタル教科書導入に向けて、生徒児童向けのタブレット配備の増設も必要なところです。
高校生インターンの受け入れ
こうしたICT活用教育の意義は、この春私がインターンとして受け入れた高校生に教えてもらいました。
新しい知恵は若い人から学べる。
大田区役所でも高校生インターンを受け入れてはどうか、地域の課題を若者と共有することができる。また、若者の政治参加のきっかけとなるでしょう。
福井県鯖江市のJK課が話題になった。高校の現代社会の副読本の表紙を飾るほど話題になった。
鯖江の牧野市長が日本のオープンデータの取り組みのトップランナー福野泰介さんを見出したように、区長が若い人を積極的に応援することには意義があります。
高校生インターンの受け入れは大田区でもいかがか?
区民と区長の懇談会において、昨年度は大森学園高校で高校生との懇談会を実施した。
雪谷高校の生徒たちと民泊についての意見交換会を実施した。
今年度も高校生との交流の機会を持ちたい。
区の未来を担う若者の柔軟な感性を区政にいかし地域の発展につなげていくことができるよう
効果的な手法を検討したい。
組体操の中止
組体操は長年運動会の目玉種目として親しまれてきた一方で
たび重なる事故の発生については顧みられてこなかったと思います。
子どもの体力向上や集団規範の確立には、組体操に限らずいろいろあります。
昨年来、組体操の危険性に警鐘を鳴らす議論が活発であります。
一方で、学校現場ではその裁量によって危険性のある組体操を継続実施している学校もあるようです。
大田区教育委員会として、組体操の中止を明確にするべきですがいかがか?
大田区教育委員会では、今年4月に各校に対して、
1) ピラミッド、タワーについては原則として休止する
2) 各種目の必要性・妥当性を検討する
3) 体力等の向上や危険予測・回避能力を育成する
との方針を示している。
今後も引き続き運動会における安全管理を徹底する。
子どもの自殺
やはり、学校がかかえるリスクとして、
かねがね質問してますが、
子どもの自殺について予防対策は?
5月に区立学校において自殺の可能性がある事故が発生している。
誠に残念であり、深く哀悼の意を表する。
自殺予防として、
学校生活調査を年2回実施。
特に28年度からは新たな調査項目を追加し、子どもの身近な人間関係を把握するようにした。
区財政の諸課題
指定管理者制度
指定管理者制度は、公の施設の管理に民間事業者のノウハウを活用することにより、管理に要する経費を縮減することを可能にするとともに、利用者に対するサービスの向上が期待されている。
大田区では平成16年度から段階的に導入されて、区内の多くの施設が指定管理者制度の下で運営するされています。
果たして、管理に要する経費が縮減できているのでしょうか。
第三セクターである、文化振興協会や産業振興協会の再委託部分の契約が随意契約が多いといった、経費縮減という主目的を達成し得ないケースもあります。
また、こらぼ大森では、
税を滞納している事業者に指定管理を委ねているという大問題がある。
過去の経緯で、当該NPO法人に委託を開始したことは理解するが、契約行為であるから、しがらみを脱して、適切に対応するべきだと思います。
指定管理者制度のより効果的な運用にむけて
区はどのような姿勢で臨むのでしょうか?
パチンコ税の導入
安倍総理の新しい判断によって、
消費増税が延期されまして、地方税の税源は縮小するでしょう。この際、大田区の課税ベースの拡大の検討もしてはいかがでしょうか。
古い話ですが、神奈川県三浦市ではヨットモーターボート税を昭和51年に導入していました。
大田区では、船舶だけでなく、ギャンブル場、パチンコと課税対象になりそうな物件はあります。
前回の予算委員会質疑でギャンブル依存症を問題提起した際に申し上げましたが、
大田区には、パチンコ店が47店、19,000台もあります。
パチンコ税の導入はいかがか?
他自治体の例として、
熱海市の別荘等所有税、太宰府市の歴史と文化の環境税、豊島区の狭小住戸集合住宅税、などがある。
新たに税負担を強いるものであり
目的、対象、負担、公平の観点から慎重に検討すべきもの。