遺言書を書いた後に、遺言者の死後必要となるのが、遺言書を裁判所で検認することです。
その方法をかんたんに解説します。
遺言書の検認の概要
遺言書の保管者もしくは発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遺言書を家庭裁判所に提出して「検認」を請求しなければなりません。
公正証書遺言の場合や、自筆証書遺言を法務局において保管した場合は、検認の必要はありません。
検認とは、相続人に対し遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
遺言書の検認の手続
遺言書の検認の手続は通常は以下のように行われます。
- 検認の申立てがあると、相続人に対し裁判所から検認期日(検認を行う日)の通知をします。
全員がそろわなくても検認手続は行われます(申立人には、遺言書、申立人の印鑑などを持参していただくことになります。)。 - 検認期日には、出席した相続人等の立会のもと、裁判官は、封がされた遺言書については開封の上、遺言書を検認します。
(封印のある遺言書は,家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。) - 検認が終わった後は、遺言の執行をするためには、遺言書に検認済証明書が付いていることが必要となるので、検認済証明書の申請をすることになります。
(遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要となります。)
検認の申立人
遺言書の保管者、遺言書を発見した相続人
検認の申立先
遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
検認の申立てに必要な費用
遺言書1通につき収入印紙800円分
連絡用の郵便切手
検認の申立てに必要な書類
- 申立書(下の記載例をご参照ください。)
- 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
- 【相続人が遺言者の(配偶者と)父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合】遺言者の直系尊属(相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合,父母と祖父))で死亡している方がいらっしゃる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本
- 【相続人が不存在の場合、遺言者の配偶者のみの場合、又は遺言者の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合】遺言者の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
- 【相続人が不存在の場合、遺言者の配偶者のみの場合、又は遺言者の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合】遺言者の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本
- 【相続人が不存在の場合、遺言者の配偶者のみの場合、又は遺言者の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合】遺言者の兄弟姉妹で死亡している方がいらっしゃる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
- 【相続人が不存在の場合、遺言者の配偶者のみの場合、又は遺言者の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合】代襲者としてのおいめいで死亡している方がいらっしゃる場合、そのおい又はめいの死亡の記載のある戸籍謄本
【参考】検認の申立書の記載例
2019_igonsyokennnin_rei引用:裁判所WEBサイト