外国人が関わる会社設立 では、
「とりあえず会社を作ってからビザを考えればよい」
という進め方をしてしまい、後から取り返しのつかない問題に直面するケースが少なくありません。

会社設立手続自体は、登記が通れば完了します。
しかし、在留資格(ビザ)の審査は、会社法とはまったく別の視点で行われます。
本記事では、外国人が関与する会社設立について、
在留資格を見据えた“設計段階”での注意点を、行政書士の立場から整理します。
会社設立と在留資格を切り離す危険性
会社設立は法務局
在留資格は入管(出入国在留管理庁)
この管轄の違いを理解しないまま進めると、
「会社はできたが、外国人が日本で働けない」
という本末転倒な事態が起こります。
特に多いのが、
- 出資構成
- 代表者の設定
- 役員構成
を在留資格を考慮せずに決めてしまうケースです。
経営管理ビザが必要になる会社設計とは
外国人が会社の経営に関与する場合、
原則として「経営管理ビザ」が必要になります。
ここで重要なのは、
会社の形式や肩書きではなく、実態です。
たとえば、
- 代表取締役
- 代表社員
- 実質的な意思決定者
として活動する外国人は、
経営管理ビザの対象となります。
近年は審査が厳格化されており、
外国人が経営管理ビザを取得する場合、
相応の事業規模や資本金(実務上は3,000万円前後)が求められる傾向にあります。
VISA申請は: VISAdeAI
外国人を「従業員」として迎える設計
一方、外国人が
- 出資しない
- 経営に関与しない
- 従業員として働く
という設計であれば、
経営管理ビザは不要で、就労ビザの対象となります。
この場合、
会社の資本金に明確な下限はなく、
株式会社か合同会社かも、入管審査には影響しません。
入管が見るのは、
- その会社に人を雇う合理性があるか
- 外国人の業務内容が在留資格に合致しているか
という点です。
外国人が関わる会社設立 株式会社と合同会社、どちらを選ぶべきか
「外国人が関わる会社設立は、株式会社が安全では?」
という質問を受けることがありますが、
法人格そのものは、在留資格審査には影響しません。
合同会社(GK)には、
- 設立コストが低い
- 機関設計がシンプル
という実務上のメリットがあります。
ただし、合同会社では
出資者=業務執行社員が原則となるため、
誰を代表社員にするか、
将来のビザ取得をどう考えるか、
事前設計が重要です。
外国人が関わる会社設立 必要となる書類
外国人が出資者や役員となる場合、
会社設立時に以下のような書類が必要になります。
- 印鑑証明書
- 署名証明書
- 宣誓供述書
これらは国籍によって要件が異なるため、
日本人だけの会社設立と同じ感覚で進めると、
途中で手続きが止まることもあります。
【Q&A】よくある失敗例
- 日本人を名目上の代表にしたが、実態は外国人経営
- 出資比率だけで判断し、役割整理をしていない
- 将来、外国人を経営者にする予定があるのに設計していない
これらはすべて、
設立前に整理していれば回避できた問題です。
専門家に相談すべきタイミングは「設立前」
会社設立と在留資格は、
同時に設計するものです。
設立後に修正しようとすると、
- 定款変更
- 役員変更
- 出資構成の見直し
といった追加コストが発生します。
また、会社設立後に、事業の許認可が必要なのに、要件が満たされていない場合もあります。許認可申請代行も岡高志行政書士事務所では承ります。事業計画を共有していただいて設計することは極めて重要です。
だからこそ、
設立前の段階での相談が最も重要です。
当事務所では、
外国人が関与する会社設立について、
チャットボットによる相談を承ります。
- どのような会社形態が適切か
- 在留資格上のリスクはないか
- 将来のビザ変更を見据えた設計か
といった点を、
設立前に整理することが可能です。
まとめ| 外国人が関わる会社設立 は「将来の在留資格」から逆算する
- 法人格よりも役割と実態
- 出資構成よりも経営関与の有無
- 設立後より設立前の設計
外国人が関わる会社設立では、
最初の設計がすべてを左右します。
「この形で本当に問題ないのか?」
そう感じた時点で、
ぜひ一度、事前に整理してみてください。



