私、岡高志は、日本行政書士会連合会 著作権相談員として 著作権 についての相談も承ります。日本政府の知的財産立国政策に沿った形で、著作権相談に対応できる行政書士が養成されています。
著作権相談員資格のある行政書士は、著作権相談員名簿に記載され、著作権相談員としてカードが交付されています。2024年3月現在で著作権相談員は、6,144 名登録されています。
著作物 概要
著作物の定義
著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの。
表現というのは、たんなるアイデアではなく、思想又は感情が表現され、文芸等の範囲に属するもの。
たまたま一緒の表現になるのは問題ない。つまり、著作権侵害とは、他人の著作物にアクセスして、その表現を模倣した事実の立証が必要。
この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
- 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
- 音楽の著作物
- 舞踊又は無言劇の著作物
- 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
- 建築の著作物
- 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
- 映画の著作物
- 写真の著作物
- プログラムの著作物
2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。
著作権法 第10条
編集著作物
素材の選択又は配列により創作性を有する編集物が編集著作物として、保護される。新聞、雑誌などがあてはまります。
編集物(データベースに該当するものを除く。)でその素材の選択又は配列によって創作性を有するものは、著作物として保護する。
2前項の規定は、同項の編集物の部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。
二次的著作物
外国の小説を日本語に翻訳した場合のように、原作に新たな創作性を加えて創られたものは、原作となった著作物とは別の著作物として保護されます。このような著作物は、二次的著作物と呼ばれます。
小説を映画化したもの、既存の楽曲を編曲したものなども二次的著作物に該当します。
なお、二次的著作物の創作にあたっては、原作の著作者の了解が必要です。また、第三者が二次的著作物を利用する場合、二次的著作物の著作者の了解のほか、原作の著作者の了解も得ることが必要です。
二次的著作物の創作とは、既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することができる別の著作物を創作する行為。
「江差追分事件」最高裁判決<2001(H13).6.28>
著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
著作権法 第27条
二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。
著作権法 第28条
国家と保護対象
日本の著作権の適用範囲は、
日本国民の著作物(日本法人、国内に主たる事務所を有する法人を含む)
日本で第一発行した著作物(同時発行された著作物を含む)
※ 同時発行とは、外国で最初に発行されたが、発行後30日以内に日本で発行されること
海外で発行されるものは基本条約であるベルヌ条約(1886年)によって保護されることになります。
著作権 とは?
著作権 と 特許権 の違い
著作権は「文化の振興」が、特許権は「産業の振興」が目的です。著作権は、コンテンツ産業(音楽産業、映画産業、放送事業、ネット配信事業等)の基盤法でもあり、著作権は、産業財産権としての側面もあり、産業の振興が目的ともなります。
著作権 | 特許権 | |
保護対象 | 著作物・表現物 | |
保護要件 | 創作性 | 新規性、進歩性、産業上利用 可能性 |
権利の享有 | 創作(事実行為) | 登録(行政処分) |
権利の性質 | 相対的独占権 財産権、人格権 | 絶対的独占権 財産権 |
保護期間 | 原則死後70年まで | 原則出願から20年まで |
この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
著作権法第1条
特許権は、設定の登録により発生する。
特許法 第66条
著作権 保護の客体
著作権法では、著作者の権利だけでなく、実演家などの権利も保護されます。実演家などとして、実演家のほか、レコード製作者・放送事業者・有線放送事業者などが含まれます。
著作権には、人格権と財産権により構成されます。
著作者は、次条第1項、第19条第1項及び第20条第1項に規定する権利(「著作者人格権」)並びに第21条から第28条までに規定する権利(「著作権」)を享有する。
著作権法 第17条
著作権 の性質
財産権であるので譲渡等又は相続ができる。
完全に著作権を帰属させたければ「著作権(著作権法27条及び28条の権利を含む)を譲渡する」と契約時に定める必要があります。
著作権は、複数の性質が違う小著作権(支分権)からなり、支分権は個別に取引可能です。
例えば、複製権の譲渡、録音・録画権の譲渡も可能です。
共有著作権の行使は原則全員の合意が必要です。
著作隣接権等 とは?
実演
著作物を演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演じること
レコード
蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの
レコード製作者
とは、原盤製作者のこと
放送
有線放送
著作者人格権 とは?
著作者人格権 の性質
著作者は、その著作物を公衆に提供し、提示する権利を有します。それを、著作者人格権と言います。
著作者人格権は、一身専属権であり、譲渡又は相続不可。
共有に係る著作者人格権の行使は原則全員の合意が必要
著作者人格権 の内容
公表権
公表の有無、公表する場合の条件を定めことができる権利
氏名表示権
氏名を付すかどうか。氏名を付す場合は、本名かペンネーム等かを決めることのできる権利。
同一性保持権
著作物の題名や内容を勝手に改変できない権利
著作者の意に反する改変(20条1項)
実演家の名誉又は声望を害する改変(90条の3第1項)
著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
2前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用しない。
一 第33条第1項、第33条の2第1項、第33条の3第1項又は第34条第1項の規定により著作物を利用する場合における用字又は用語の変更その他の改変で、学校教育の目的上やむを得ないと認められるもの
二 建築物の増築、改築、修繕又は模様替えによる改変
三 特定の電子計算機においては実行し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において実行し得るようにするため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に実行し得るようにするために必要な改変
四 前三号に掲げるもののほか、著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変著作権法 第20条
実演家は、その実演の同一性を保持する権利を有し、自己の名誉又は声望を害するその実演の変更、切除その他の改変を受けないものとする。
2前項の規定は、実演の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変又は公正な慣行に反しないと認められる改変については、適用しない。
著作権法 第90条の3第1項
著作者人格権(同一性保持権)の不行使特約
著作者人格権は、権利の性質上他人に譲渡できない。例えばコンピュータプログラムのように頻繁にバージョンアップを繰り返す場合、漫画キャラクターのように原画を基にした様々な姿態の派生画も認める場合は、改変の都度著作者の同意を得ることは事実上困難であるので、あらかじめ著作物の改変に関し同意を得ておく著作者人格権(同一性保持権)の不行使特約を契約上規定する方法があります。
著作物の利用
著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができます。
著作権は、「他人の作品を無断で利用できない」権利。だから、利用するときは、原則著作権者の了解(許諾)が必要。
著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。
2 前項の許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる。
3 利用権は、著作権者の承諾を得ない限り、譲渡することができない。
4 著作物の放送又は有線放送についての第1項の許諾は、契約に別段の定めがない限り、当該著作物の録音又は録画の許諾を含まないものとする。
5 著作物の放送又は有線放送及び放送同時配信等について許諾を行うことができる者が、特定放送事業者等に対し、当該特定放送事業者等の放送番組又は有線放送番組における著作物の利用の許諾を行つた場合には、当該許諾に際して別段の意思表示をした場合を除き、当該許諾には当該著作物の放送同時配信等の許諾を含むものと推定する。
6 著作物の送信可能化について第一項の許諾を得た者が、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において反復して又は他の自動公衆送信装置を用いて行う当該著作物の送信可能化については、第23条第1項の規定は、適用しない。
著作権法 第63条
権利者が不明等で連絡が取れないときは裁定制度(強制許諾制度)が利用できる。
多数の著作権者から権利の委託を受けて、利用の許諾を与える「著作権等管理事業者」が存在。
権利者不明等の場合の裁定制度
新たな裁定制度の創設等(2023年改正法の公布の日から起算して3年以内で政令で定める日から施行)
利用の可否に係る著作権者等の意思が確認できない著作物等の利用円滑化 ・未管理公表著作物等(集中管理がされておらず、利用の可否に係る著作権者等の意思を円滑に確認できる情報が公表されていない著作物等)を利用しようとする者は、著作権者等の意思を確認するための措置をとったにもかかわらず、 確認ができない場合には、文化庁長官の裁定を受け、補償金を供託することにより、裁定において定める期間に限り、当該未管理公表著作物等を利用することができることとする。
文化庁長官は、著作権者等からの請求により、当該裁定を取り消すことで、取消し後は本制度による利用ができないこととし、著作権者等は補償金を受け取ることができることとする。
窓口組織(民間機関)による新たな制度等の事務の実施による手続の簡素化 ・迅速な著作物等利用を可能とするため、新たな裁定制度の申請受付、要件確認及び補償金の額の決定に関する事務の一部について、文化庁長官の登録を受けた窓口組織(民間機関)が行うことができることとする。
新たな制度及び現行裁定制度の補償金について、文化庁長官の指定を受けた補償金等の管理機関への支払を行うことができることとし、供託手続を不要とする。
参考:文化庁
著作権 登録
著作権 登録
我が国が加盟しているベルヌ条約等の国際規範により、著作権は、著作物の創作等と同時に自動的に発生します。このため、著作権という権利を得るための著作権登録といった制度は存在しません(様式のチェック(方式審査)と、特許審査官による審査(実体審査)が行われ、審査を通過したもののみが特許査定を受け、設定登録されて特許の権利を取得することとなる特許権とはまったく異なります。)。
登録制度とは、実名の登録、第一発行年月日の登録、創作年月日の登録(プログラム著作物)といった著作権に関する事実関係の公示や、著作権・著作隣接権の移転等の登録、出版権の設定等の登録といった著作権が移転した場合の取引の安全の確保等のためにする仕組みをいいます。
登録の対象となる 著作物 とは?
二次的著作物
著作物を翻訳、編曲、変形、翻案(脚色、映画化等)することにより創作した著作物
編集著作物
素材(著作物に限らない)の選択又は配列によって創作性を有するもの
(例:百科事典、雑誌、新聞)
データベースの著作物
情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するもの
(例:判例検索データベース)
著作権登録の種類と登録免許税
- 実名の登録・・・9,000円
- 第一発行年月日等の登録・・・3,000円
- 著作権の移転の登録・・・18,000円
- 出版権の設定の登録・・・30,000円
著作権 登録の流れ
- 申請書等の作成
申請書等の事前確認依頼(メール送付)
(申請人(代理人)→文化庁)
※電話・来庁による個別相談はできません。
申請書等の確認の連絡(メール)
(文化庁→申請人(代理人))
※修正がある場合、修正・再提出の指示あり。 - 申請書等の提出(郵送)
※最寄りの郵便局等で収入印紙を購入の上、申請書に収入印紙を添付して郵送する。 - 形式審査
著作物の内容には踏み込まない形式審査です。 - 登録又は却下
- 登録済通知書又は却下通知書の交付
原則としてメールによる通知書交付
著作権 侵害
刑事責任
他人の著作権等を侵害した場合につき、著作権法第119条により規定されています。
10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金
法人が著作権等侵害をした場合は、3億円以下の罰金
原則、告訴が必要(親告罪)であるが、海賊版業者等悪質な者は非親告罪となる。
他人の著作者人格権を侵害した場合
5年以下の懲役又は500万円以下の罰金
民事責任
故意又は過失により著作権等を侵害をした者に対し、権利者は損害賠償を請求することができ
る(民法709条、710条)
著作物利用許諾契約 ( ライセンス契約 ) 行政書士が作成します
著作物利用許諾契約 ( ライセンス契約 ) 行政書士が作成します。
参考記事:著作物利用許諾契約 ( ライセンス契約 )ひな形 付き
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