横浜市長選2026を振り返る―原沢あつみ氏当選、出口調査の分析

選挙コラム

昨日は、山中竹春前市長がパワハラ問題で辞職したことに伴う横浜市長選挙でした。前職の返り咲きを認めるのか、それとも新しい市長に任せるのか。政策比較とともに、市政への信頼が問われていました。投票率は45.56%。前回の41.64%から3.92ポイント上昇しました。身近な自治体の政治を、自分の一票で選び直す。その関心の高まりを感じる選挙となりました。

投票年投票率
2017年37.21%
2021年49.05%
2025年41.64%
2026年45.56%

もちろん、一直線に投票率が上がっているわけではありません。IR誘致が大きな争点となった2021年には届きませんでしたが、今回は前回より多くの有権者が投票に参加しました。

先週のYouTubeライブ「岡TV」では、上大岡での街頭視察も踏まえ、7人の候補者と選挙の構図を紹介しました。

先週の分析記事:7人の候補者と予測得票率から見る決戦のゆくえ

原沢あつみ氏39.49%で当選。山中前市長は3位

横浜市選挙管理委員会が10月19日午前1時56分に確定した結果は、次のとおりです。

順位候補者名〈届出表記〉得票数得票率
当選原沢あつみ552,207票39.49%
2福山あつし230,418票16.48%
3山中竹春199,746票14.28%
4中谷一馬179,739票12.85%
5藤川さちこ97,819票7.00%
6あさか由香89,052票6.37%
7山本理顕49,377票3.53%

有効投票総数は139万8,358票。原沢氏と2位・福山氏との差は32万1,789票でした。

出典:横浜市選挙管理委員会・確定開票結果

原沢氏は全18区で首位を獲得しました。一方、中谷氏は港北区で24.77%、都筑区で20.39%と、市全体の12.85%を大きく上回っています。市全体の順位だけでは見えない、地域ごとの支持の違いも表れました。

出口調査は、上位4人の順位を捉えていた

朝日新聞とNHKの出口調査は、いずれも原沢氏が大きく先行し、福山氏、山中氏、中谷氏が続く構図でした。確定結果も、この順番になりました。

横浜市長選挙出口調査朝日新聞
横浜市長選挙出口調査朝日新聞

朝日新聞LIVE「出口調査・投票先」

横浜市長選挙出口調査NHK
横浜市長選挙出口調査NHK

NHK「投票日出口調査」

グラフからの概読では、原沢氏は朝日で4割弱、NHKで4割強。実際は39.49%でした。大きな構図はよく捉えていたといえます。

ただし、両画像には候補者別の詳しい数値表示がないため、棒の長さから小数点単位の誤差を論じることはできません。NHKのグラフでは浅賀氏が藤川氏をわずかに上回っていますが、確定結果では藤川氏7.00%、浅賀氏6.37%と逆転しました。接近した候補者の順位には、調査と実際の結果で違いが出ています。

なお、以下で参照する選挙ドットコム・JX通信社の資料は、10月9日の事前ネット情勢調査(回答者1,095人)です。投票日当日の出口調査とは、調査時点も方法も異なります。

政党の支援に加え、無党派層でも原沢あつみ氏が先行

朝日の出口調査では、自民党支持層の57%が原沢氏に投票しました。公明党支持層でも原沢氏への集中が目立ちます。

ただし、推薦・支持した政党の支持者が、一律に同じ候補へ投票したわけではありません。国民民主党支持層では、原沢氏36%に対し、山中氏、中谷氏がそれぞれ20%でした。

横浜市長選挙出口調査政党別朝日新聞
横浜市長選挙出口調査政党別朝日新聞
横浜市長選挙出口調査政党別朝日新聞2
横浜市長選挙出口調査政党別朝日新聞2

朝日新聞LIVE「主な政党支持層の投票先」。政党の分類は画像の表記による。

無党派層では原沢氏34%、福山氏18%、山中氏と中谷氏が各15%。政党の支援を足場としながら、支持政党のない有権者にも支持を広げたことが、原沢氏の勝利を支えました。

参政党支持層では79%が福山氏、共産党支持層では68%が浅賀氏に投票しています。

NHKの調査では「特になし」が36%、自民党支持が31%でした。図は各支持層の大きさも反映しており、無党派層の動向が選挙全体に与える重みを確認できます。

横浜市長選挙出口調査政党別NHK
横浜市長選挙出口調査政党別NHK

NHK「支持政党」。左の数字は各政党の支持層が回答者に占める割合。

一方、JX通信社などの事前調査では、国民民主党支持層の原沢氏支持は70%、参政党支持層の福山氏支持は50%でした。朝日の出口調査とはかなり違います。

横浜市長選挙出口調査政党別JX
横浜市長選挙出口調査政党別JX

選挙ドットコム・JX通信社、10月9日ネット情勢調査

この違いを、そのまま「選挙終盤に票が動いた」とは断定できません。調査方法や回答者、支持政党の分類が異なり、政党別に分けた回答数も画像からは分からないためです。政党の推薦だけで得票を計算する難しさが、ここにもあります。

福山氏2位――年代によって異なる選択

朝日の出口調査では、30代の35%が福山氏に投票し、原沢氏の21%を上回りました。18~29歳では原沢氏28%、福山氏25%。40代でも原沢氏32%、福山氏27%と接近しています。

横浜市長選挙出口調査年代別朝日新聞
横浜市長選挙出口調査年代別朝日新聞
横浜市長選挙出口調査年代別朝日新聞2
横浜市長選挙出口調査年代別朝日新聞2

朝日新聞LIVE「年代別の投票先」

一方、原沢氏は50代で42%、60代で51%。70代、80歳以上でも41%を得ています。

事前ネット調査でも、18~39歳では福山氏30%、原沢氏26%でした。年齢区分が異なるため厳密な比較はできませんが、福山氏の若い世代での強さは、投票日前から見えていました。

横浜市長選挙出口調査年代別JX
横浜市長選挙出口調査年代別JX

選挙ドットコム・JX通信社、10月9日ネット情勢調査

原沢氏の幅広い支持と、福山氏の世代による強弱。この両方を押さえることが、今回の結果を理解するうえで大切です。

パワハラ問題を81%が重視。それでも暮らしの政策を求めている

朝日の出口調査では、パワハラ問題を「大いに重視した」が44%、「ある程度重視した」が37%。合わせて81%でした。

「大いに重視した」層では原沢氏46%、山中氏5%。一方、「あまり重視しなかった」層では山中氏31%、原沢氏24%でした。この問題への受け止め方と、投票先には明確な違いがあります。

横浜市長選挙出口調査パワハラ朝日新聞
横浜市長選挙出口調査パワハラ朝日新聞

朝日新聞LIVE「山中前市長のパワハラ問題」

NHKでも、パワハラ行為を「考慮した」が81%でした。表現は異なりますが、両社とも多くの有権者が問題を判断材料にしたことを示しています。

横浜市長選挙出口調査パワハラNHK
横浜市長選挙出口調査パワハラNHK

NHK「パワハラ行為」

では、有権者は不祥事への批判だけで投票したのでしょうか。政策に関する調査を見ると、もう一つの側面が分かります。

NHKで期待する政策の最多は「経済・物価高」43%。「教育・子育て」「医療・福祉」が各19%、「信頼回復・組織改革」は10%でした。

横浜市長選挙出口調査政策NHK
横浜市長選挙出口調査政策NHK

NHK「期待する政策」

事前ネット調査でも、重視する課題は「経済・雇用・賃金」44.9%が最多。「高齢者福祉・医療」35.9%、「財政健全化・行政改革」35.7%が続きました。

横浜市長選挙出口調査政策JX
横浜市長選挙出口調査政策JX

選挙ドットコム・JX通信社「投票先を決めるときに重視する課題」。3つまで選択。

こちらは複数回答なので、NHKの数字と直接比較はできません。また、パワハラ問題を単独で尋ねた「81%」と、政策の選択肢として尋ねた数字も別の意味を持ちます。

私には、これらは矛盾していないように見えます。市長として信頼できることを前提に、その人が暮らしをどう良くするかを見ている。信頼回復と生活政策の両方を求める有権者の姿が浮かびます。

SNSの存在感と、新聞・テレビの役割

朝日の調査では、選挙に関するSNSの情報を「重視した」が39%。その層で福山氏の得票割合は28%でした。「重視しなかった」層の10%と比べ、違いが目立ちます。

横浜市長選挙出口調査SNS朝日新聞
横浜市長選挙出口調査SNS朝日新聞

朝日新聞LIVE「選挙に関するSNSの情報」

NHKで参考にしたメディアは、新聞29%、SNS・動画サイト19%、ニュースサイト・アプリ18%、テレビ16%でした。

横浜市長選挙出口調査SNSNHK
横浜市長選挙出口調査SNSNHK

NHK「参考にしたメディア」

朝日の「重視したか」とNHKの「参考にしたメディア」は質問が異なり、39%と19%を同じ尺度では比べられません。また、SNSを見るから特定候補に投票したのか、もともとの支持者がSNSで情報を得ていたのかも、この図だけでは分かりません。

それでも、SNSや動画が候補者と有権者をつなぐ大切な入口になっていること、新聞など従来の媒体もなお大きな役割を持つことは確認できます。

私の予測は外れました。申し訳ありません

先週のブログでは、原沢氏が先行し、山中氏が追う構図を示しました。しかし実際には福山氏が2位となり、山中氏は14.28%の3位でした。

原沢氏の先行という方向は捉えていても、候補者ごとの得票の配分や順位を十分に読めていませんでした。

とりわけ、福山氏の若い世代での支持と、山中氏の返り咲きに対する厳しい判断を、予測に十分反映できなかったことは反省点です。当選者が当たったかどうかだけで終わらせず、どこを見誤ったかを次の分析に生かします。

2027年、大田区でも政治は変えられる

横浜と大田区では、候補者も政党の支援関係も異なります。今回の結果から、来年の大田区長選挙の勝敗をそのまま予測することはできません。

それでも、今回の選挙から受け取れるものはあります。市長経験や知名度があっても、有権者の信頼は無条件に続くものではない。そして、行政への信頼を回復してほしいという思いは、暮らしを良くしてほしいという願いとつながっている、ということです。

私は、大田区政の不透明さや説明責任の問題を問い続けています。問題点を明らかにするだけでなく、区民が安心して暮らし、職員が力を発揮できる区役所をどうつくるか。その具体策を示す責任もあると考えています。

区議会議員2期の経験と、行政書士として区民や事業者の困りごとに向き合ってきた実務を、区政の改善につなげたい。子育て、教育、介護、地域経済、行政手続。日々の生活に関わる課題で、「岡高志に任せてみよう」と思っていただける提案を重ねていきます。

2027年4月の大田区長選挙で、岡高志が現職を破る可能性はある。その可能性を現実にするのは、不祥事への批判だけでなく、信頼できる次の区政を示し、一人ひとりの支持を積み重ねることです。

大田区の未来を決めるのは、区民の皆さんです。私は、その選択肢となるために全力を尽くします。

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