大田区議会 平成24年第4定例会 で一般質問の機会をいただきました。
何気に、議員就任以来全ての定例議会の本会議場で質問の機会を得ています。
・平成23年第2定例会 一般質問
・平成23年第3定例会 一般質問 決算特別委員会質疑① ②
・平成23年第4定例会 一般質問
・平成24年第1定例会 予算特別委員会質疑① ②
・平成24年第2定例会 一般質問
・平成24年第3定例会 一般質問(民主党代表質問) 決算特別委員会質疑① ②
主要会派では私だけです。
多く発言することが、良いことであるかどうかは別として、
私の意欲をご評価いただきたい。
たまたま会派の同僚議員のみなさんのご理解のもとで質問枠が回ってきているものです。連続登場はいつか途切れてしまうものです。
以下、私の発言内容をアップします。
大田区の景観について
― 景観条例について
今回、景観条例を作成して
東京都の景観行政事務を大田区に権限委譲するものである。
しかしながら、東京都の景観条例で規制対象となる建物の新築はこの1年間でわずか7件と聞いている。
東京都の景観条例の規制対象範囲は
大田区では、国分寺崖線景観基本軸・臨海景観基本軸・一般地域の3地域区分で指定される。
国分寺崖線景観基本軸は田園調布の一部に限定される。
高さ10m以上の建物を建てる際などに規制されるが、
そもそも概ねこの地域は建築基準法で10mの建物は建てることができない。
つまり、景観条例の規制対象にはなりにくい。
臨海景観基本軸とは水際から50m、大田区では空港や埋立地程度である。
一般地域での規制は 高さ60m、延床30,000㎡ と限定的である。
つまり、大田区では東京都景観計画の規制対象は非常に少ない。
そういった意味で、他の地域と横並びに規制することを焦らなくてもよい。
地域性も様々、地域の中も場所によって様々な景観をみせるのが大田区。
いろんなものが混じり合っていることこそが、この大田区の良さだ。
そして、その混じり合いを許容する大田区の良さが
次の時代の何か新しいものを生み出す素地ではなかろうか。
区内全域に十把ひとからげに景観条例で一般的に規制するのは、
地域力を重んじる大田区の基本理念に反すると思うが、いかがか?
景観条例によらなくとも、昨年の防災地区計画や田園調布などの地区計画でも景観規制は実現できている。
住民からは問題点も指摘されている。
大森中・糀谷・蒲田地区防災街区整備地区計画では、
色彩は地区の環境に調和したものとする。という大変曖昧な表現が使われており、
規制としてはいかがなものでしょうか?
田園調布の地区計画は、地区計画での規制だけではなく、田園調布会との事前協議が実質的に求められる。
本来は地区計画において全ての規制が明らかにされるべきだと思います。
田園調布会といえども、完全に住民意思が反映された組織であると言いきることはできません。
地域住民に働きかけて、地区計画の変更を検討するべきだと思うがいかがでしょうか?
景観条例による新しい規制の大きなものは色規制である。
東京都の景観計画における一般地域での色規制につき、
大田区としてどのようにとらえているのか?
東京都の景観計画では色をマンセル値で置き換えて表現しますが、
一般地域を例にとってその色規制をみると
地味で目立たない色しか選択できず、
新しい建物であるにもかかわらず、どんよりした印象を与える恐れがある。
都の景観計画でも、無電柱化の推進が記載されていますので
大田区でも、無電柱化の推進は強力にお願いします。
ニューヨークのマンハッタンでは、電柱はすでに地中化されています。
そして、地上に変圧器などの機器も存在しない。
地上機器のためのスペースがなくとも電線を地中化できる方法があるようだが、
大田区では実施できないのか?
民主党政権において確認審査の迅速化に取り組んできたことは、一定の評価をいただいた。
しかし、景観計画により事前相談が義務付けられることにより、
建築物の場合、建築の確認申請よりも
30日ないしは60日早い届出が要求される。
すなわち、経済的にマイナスの影響が発生してしまうが、どのように考えますか?
審査対象を減らすなど、審査の迅速化に取り組んでいただきたい。
― みどりの条例について
みどりの条例案では、区民に対する具体的な緑化義務が示されています。従来は開発指導要綱によって開発業者にのみ課せられていた規制が、強化された上で、一般の区民の自宅建築などの際にも適用されます。
個人の財産権に対して新たな制約を加えるもので好ましくないとの旨を
前回の定例議会の民主党の代表質問でも申しあげました。
規則に定められる緑化基準に従わなかったからといって課せられる不利益処分は慎重であるべきだ。
今回の案文の理解として、
区が区民に対して行える不利益処分は
28条 指導 29条 勧告 30条 公表 の3点であり
建築行為の差し止めなどの強制力は持たない。
との理解でよろしいか?
景観条例による色規制等と同様になんとなく理想的な社会を築くための規制がこの緑の条例である。
緑化の必要性は概ね区民のコンセンサスが得られている。
敷地の緑化も概ねコンセンサスが得られている。
屋上、壁面の緑化もなんとなく理想的なようではあるが、そうした地面に根をはれない緑化は自然の摂理に適合するものとも思えないし、民家の屋上、壁面を緑化するのは負担が大きく、区民のコンセンサスが十分にあるとは思えない。
そうした観点から、今回のみどりの条例案で屋上、壁面、ベランダも含めた緑化計画の提出を初めて義務付けようとしている点について
近隣自治体の例をあげると品川区みどりの条例では
大田区と同様に300㎡以上の敷地での建築時に緑化計画書を提出しなければならないが、
1,000㎡以下の敷地については、屋上、壁面、ベランダの緑化は除外されている。
今回の大田区の条例案は、屋上、壁面、ベランダの緑化について
東京都条例の現行規定、さらに、おとなり品川区よりも
厳しい規制を賦課しようとするものです。
大田区で特に、屋上、壁面、ベランダの緑化を推進する理由が何かございますか?
今回のみどりの条例は
東京都の緑化関連行政事務を大田区に権限委譲する趣旨でもあるから、
やはり、区民への義務付けの強化は慎重に検討するべきだ。
― 東工大について
11月23日午後1時ごろに東京工業大学の石川台1号館で火災事故がありました。
化学実験中で、何らかの原因で薬品が漏れて引火したと報道されています。
近隣の方からは、異臭がした、と不安な声をうかがいました。
東工大はこれまで今年6月を含め度々爆発・火災を起こしています。
静かな住宅街の隣で有ってはならないことです。
区として事態の把握はされているのか?
今後の安全対策の徹底を要望していただきたいが、いかがか?
過去の東工大大岡山キャンパスでの火災などの記録と
その都度採られた再発防止策を徴収していただくように要望する。
大岡山キャンパスには原子力研究施設があるので、こちらの事故についてもあわせて要望します。
また、原子力研究施設の現状についての説明も要望します。
東工大は地域に大きく貢献しており、まさに地域の知的資産・景観資源であるけれども、
住民がそこに暮らしていることを理解して、住民の生活環境の向上に最善・永続的な協力をして欲しい。
警察との連携について
― 暴力団排除条例が施行されたが、区の取組方針をご説明ください。
東京都の暴力団排除条例 H23施行
ここでは、都の責務・都民の責務を定めた。
補充的に基礎自治体たる大田区の責務を定めるためにも
区の暴力団排除条例を定めた経緯もあります。
区は暴力団排除について総合的に推進する責務を負った。
区の取組方針をご説明ください。
先日は賑々しく決起大会を区として主催しているが、
区条例の制定の経緯からすると
区自体の事務事業・区の施設利用許可において
暴力団排除の取り組みを示すことが重要であろう。
― 洗足池の露天排除
都条例において
祭礼における暴力団排除を1条設けて規定している。
そしてここでいう、祭礼の運営に携わる者の範囲には、場所の使用許可を与えている区も含まれる。
区としては、祭りに関しても、暴力団排除の取り組みを示すことが必要であろう。
洗足池の花見時期など、露天商の存在について地域住民からお困りとの声が多い。
まちづくりの観点も含めて、暴力団関係者の排除の方針をお示しください。
条例施行のタイミングでもあり、区として積極的にお示しいただかなければならない。
― 露店を公園使用許可から賃貸へ
現状の露天への公園など公有地使用許可についても
税外収入の確保といった点から、
金額が適正であるのか見直さなければならない。
現状、屋台1件月1万円程度というように聞いている。
祭りの露天は営利事業とみなすことができる。
この春、洗足池のお花見を見てまわりましたところ、
月1万円の賃料に対してはるかに高い水準の売り上げがある様子がつかめました。
売り上げを考慮して使用料を設定することは、何ら社会的妥当性を欠くものではない。
使用許可ではなくて、
短期の賃貸借への切り替えを図り区の収入増を図るべきだと思うが、いかがか?
過去の経緯はともかく、暴力団排除条例が施行されるなど、時代は変わっている。
行政の対応も変わらなければなりません。
増え続ける生活保護給付への対策について
― ジェネリック医薬品の推進
生活保護給付は、
リーマンショック以降21、22,23年と毎年10%前後増加し続けてきた。
今年は歯止めがかかるだろうということで、341億円余の当初予算であったが、
今回の補正で350億円を超える。
生活保護の増加は当初予算の想定を上回った。
当然、生活保護の適正化の努力をされたと思うが、この状況をどう考える?
生活保護費のうち4割以上が医療扶助であり、医療費の適正化は取組まれなければなりません。
最近では国からも、新発薬より安価なジェネリック薬品の使用徹底の方針も発せられている。
これは今に始まったことではなく、
2008年に厚生労働省が生活保護受給者へジェネリック医薬品を推奨するようにと通達を出していた。
しかし、これは遂行されなかった。
何が問題だったのか?
ジェネリック薬品へのシフトが100%達成できたとしたら、
生活保護費は何億円減少すると想定されるのか?
― 戸籍調査の実施
生活保護は23年度の包括外部監査の対象でしたが
的を得た意見が数多くでていました。
ポイントとしては、当初の審査の厳格化であると考えます。
監査の意見にもあった、保護申請受理時点での戸籍調査と扶養照会の徹底を求めます。
各地域の福祉課によって、戸籍調査の実施率に大きな差がある。
との指摘があったが、なぜそのような状況であったのか?
今後の方針を示してください。
職員の負担増加につながるので、外部プロフェッショナルへの調査依頼も検討が必要である。
戸籍調査は行政書士が得意とする分野であるから、行政書士会との提携も効果的だと思うが、いかがか?
戸籍調査の徹底によって、思わぬ相続権が見つかり、
生活保護が必要ないケースも出てくることも期待されます。
― 嘱託医について
監査の意見にもあった、嘱託医を区外の医師に依頼することを求めます。
嘱託医は医療要否の意見をおこなうが、主に区内の医療機関が提出した申請を、
やはり区内の医師が意見することは、コンフリクトが生じています。
大田区のような都会では、他の地域の医師に協力を求めるのは地理的・物理的に何の制約もない。
監査意見を受け止めて、即刻、区内の医師への嘱託を廃止して、
嘱託医を区外の医師に依頼するべきだが、
いかがか?
どうしても、生活保護は医療扶助の金額の大きさに注目が集まるが、
介護の負担も大きい。
昨年度の生活保護費のうち、介護援助 656M。
実際には、これは 1割負担の数値で、毎月の上限額もあることを考慮すると
実際の介護費用は 65億円以上であり、
特に区財政への負担は大きいことに気づかなければなりません。
医療・介護・生活保護は財政上大きな負担としてのしかかっています。
超高齢社会となった大田区における大人向け健康教育について
― 学校行事での保護者向け健康講座の実施について
大田区の高齢化率は H24/1の住民基本台帳によれば、 21.03%
ついに 21%を超えて、超高齢社会の時代に突入しています。
日本の年齢別医療費の推計によれば
65歳以上から1人あたりの医療費は特に大きくなり 年間200万円を超える。
超高齢社会における医療費負担は区民全体にとって大きな負担となることでしょう。
さきほど申し上げたように、医療・介護・生活保護は財政上大きな負担としてのしかかっています。
厚生事務次官を務められた多田宏さんから先日お話をうかがいまして
これからの社会保障を維持していくには、医療の予防であると気づかされました。
医療の予防は難しいことではなく
自身の 体温、血圧、コレステロール値、血糖値が管理できていればいいのです。
体温が36度5分になるように 温かいものを飲む
血圧を下げるために、塩分を控える、カリウムを摂る
コレステロール値、ヘモグロビン値を適正に抑えるために しっかり野菜を食べる
そうしたことを管理すればよい。
病気もちの高齢の方は、こうした数値をよく把握されています。
ところが、まだ病気になっていない30代40代ではあまりこうした数値を把握できていない。
いままでの教育においてそのような知識を得ていない。
でも、健康診断を注意深く受けていると、理解が進む。
しかし、健康診断の受診率は特に国民健康保険の被保険者において十分ではない。
未病の30代40代にこそ自身の健康指標を理解する健康教育が必要です。
健康づくり課もPRはされているし、介護保険課も介護予防の観点でPRされているが、
30代40代に十分伝わっているとは思われない。
そこで、30代40代が区内で集まる場はどこかと考えますと、小学校です。
小学校の学校公開などの機会にあわせて、保護者向け健康講座を実施することも有意義かと思うが、
いかがでしょうか?
先の決算特別委員会において、何人かの議員から学校における食育が提言されていましたが、
家庭における食育へ良い影響を与えることもできる提言となります。
もちろん、教職員の職務は子どもを育てることにあるので、講座の実施は教職員の負担ではなく、
健康づくり課に担っていただければいいと思います。
これからの10年20年先の大田区の医療・介護での財政負担の解決策として提案させていただきました。
以上