韓国カジノIR視察で感じた日本のギャンブル管理や依存症対策の課題

こんばんは。
大田区議会議員 岡 高志です。

4月11日〜13日の3日間の行程で、韓国のカジノIRを視察してまいりました。
しっかり勉強になったので、まとめるのが遅くなりました。
本日、衆議院議員会館でギャンブル依存症議員連盟メンバーやメディア向けに報告会を開催したので、その概要をブログにてご報告します。

韓国は、すでにカジノもあって、ギャンブル依存症対策にも取り組んでいます。
隣国であり、過去にはパチンコ店も多かったことなど日本と共通点が多いため視察対象としました。

視察項目は4点

  • 韓国人向けカジノ カンウォンランド
  • 外国人専用カジノ パラダイスシティー
  • “KLACC” Kangwon Land Addiction Care Center
  • 韓国賭博問題管理センター Korea Center on Gambling Problems

カンウォンランド
〜 炭鉱の閉鎖後にカジノ誕生

韓国のカジノは15ヶ所。自国民が利用できるのは1ヶ所。
それが、カンウォンランド

ソウルから車で3時間くらいの山の中に位置します。
スキー場やゴルフ場とともにリゾートを形成していまして、
元々は炭鉱のまち。
炭鉱が閉鎖となり、まちの再生のためにカジノを中心としたリゾートを開発していまして、
2000年に開業しました。

下の写真の右側がカジノ棟
左の2つは、ホテル棟。右下は、ウォータースライダーなどのプールを建設中。

カジノ場内は、豪華な雰囲気です。
写真は撮影不可なので、リゾートのウェブサイトをご参照ください。
カジノ場内でのアルコールの提供はなく、
喫煙は喫煙所なので、健康的な雰囲気です。

入場には、マイナンバーカードでチェックされます。
月15日までの入場制限があり、2ヶ月続けて15日入場すると、クーリングオフといって出入り禁止になります。
入場料は、約900円。

カンウォンランドのIR資料(2017年)からカジノの収支構造を読み解きます

円換算ベースで
リゾート総売上高が、1,604億円
うちカジノ部門は、 1,522億円
カジノ部門の売上原価は、 646億円 ⇒ カジノ部門の粗利率が、6割となります。
カジノ部門の粗利から、廃坑基金に 158億円拠出 ⇒ 粗利に対して 約2割となります。
カジノ以外は、粗利ベースで赤字の構造ですが、
カジノは高い利益率を叩きだしています。

カジノ売上が増えると、行政の規制が入ります。
後述しますが、カジノ売上には上限が設定されていまして、
カンウォンランドの売上を抑制するために、
営業時間が朝10時から翌朝6時 (1日20時間営業)だったのが
最近になり朝10時から翌朝4時 (1日18時間営業)に短縮したそうです。

カンウォンランドはカジノができてまちが荒廃している?!
犯罪が増えている。
自殺者が出ている。
ホームレスがいる。
住民が減っている。
という指摘がありました。

リゾートの麓のまちには、車を担保に金を貸す質屋が散見されます。
車で来て、遊ぶ金がなくなると質に入れるそうで、負けるとバスなどで泣く泣く帰るそうです。
夜は視察してませんが、宿泊費がなくなれば、カジノの閉店時間は路上で時間を過ごすのでしょう。

このまちは、元々は炭鉱のまちです。
石炭を掘るために人が集まってきました。
炭鉱が閉鎖となってしまえば、産業はありません。

問題のないカジノ客はリゾート内で過ごしているので、麓のまちには来ません。

問題を抱えたギャンブラーが麓のまちに降りてくる。
そのニーズを満たすビジネスが発生します。

カジノを作ってまちおこしという理想は成り立たないでしょう。
もちろん、カジノの収益は税収に貢献しますから、行政経営に関わる立場からは魅力的でしょう。

パラダイスシティー 〜 最新のラグジュアリーリゾート

仁川空港のそばに昨年オープンしたばかり最新のカジノ

韓国カジノ大手Paradiseと日本のセガサミーの共同事業です。


ホテル、カジノ、コンベンション、ショッピングモール、アートギャラリー、などにより構成される都市型の統合型リゾート
総投資額は 1,420億円

パラダイスシティーは外国人専用です。
前述の通り、韓国で韓国人が入場できるのは、カンウォンランドのみ。
日本でカジノ解禁の議論が進んでますが、どうして日本人禁止にしないのでしょうか?

もちろん、人口の多い日本人をターゲットにしないカジノを作ってもビジネスとして旨味がないからでしょう。

外国人向けカジノですから、営業時間などの規制はありません。入場料も不要。パスポート確認後、メンバーズカードが発行されます。
設備はカンウォンランドよりグレード高め。
場内のバーでは食事の無料提供もあります。
意外にも、アルコールは有料。プレイしながらの飲酒はNG

酔っぱらうとトラブルになりますからね。

カジノ場内の撮影はやはりNGなのでウェブサイトをご参照ください。

カジノ以外にも楽しめるIRだと感じました。
日本の多くの都市から定期便のある仁川空港そばの立地。
中途半端な立地の日本国内カジノよりも魅力的かもしれません。

ちなみに、仁川空港周辺は経済特区として大きく発展しています。
羽田空港が立地する大田区の議員として大いに興味をもちました。

こちらの視察報告はまた改めて。。。

“KLACC” Kangwon Land Addiction Care Center 〜 依存症対策では予防啓発が重要

カンウォンランドのカジノ棟に併設されたギャンブル依存症ケアセンター
韓国初のギャンブル依存症ケアセンターとして2001年に設立されました。

様々な賭博問題や投機的なビジネスの副作用、ギャンブル依存症の予防や癒し活動を行うことで社会問題を最小限に抑え、ギャンブル依存症の被害者に対する社会的責任を果たすことを目指しています。
依存症予防および治癒支援プログラムに焦点を当て、ギャンブル依存症に関連する問題を研究。
専門カウンセラーによるオンラインとオフラインのカウンセリングサービスを提供しています。
関連する専門病院や診療所との支援では医療費の100%を支援。

予算 16億円、ちょうどカジノ売上の1%の水準。

依存症の予防啓発を重視しています。
施設内のトイレ、喫煙所、受付などに加えて、周辺の駅やバス停にも啓発チラシなどを設置しています。
啓発チラシには、簡易な依存症チェックリストもあって、相談に向かう導線があります。

読みやすい漫画でも依存症を啓発。


カジノでの啓発媒体ですが、オンラインカジノにはまる大学生のストーリーもあったのが印象的です。

韓国賭博問題管理センター 〜 韓国のギャンブル管理政策

韓国では、2007年にNational Gambling Control Commission Act が制定されています。
日本語にすれば、ギャンブル管理委員会法でしょうか。
この法律によって、
National Gambling Control Commission (ギャンブル管理委員会)が設立されて、
首相直轄の組織でギャンブル業界を規制し予防政策を立案しています。

いまの日本では、IR整備法案が議論されてますが、
IRだけを管理するのでなく、ギャンブル全体を管理する政府組織が必要であると感じます。

この法律では他にも

ギャンブル産業の総量抑制が規定されており、ギャンブル産業の総売上の上限を韓国のGDPの0.54%に設定しています!

韓国のGDPは約140兆円ですから、ギャンブル産業の上限は7,000億円程度になります。

違法カジノの実態調査、監視もギャンブル管理委員会の役割です。
合法ギャンブルだけを厳しく対応すれば、違法ギャンブルが増えてきますから、あわせて管理したほうがいいでしょう。

今回の視察先の
Korea Center on Gambling Problems (韓国賭博問題管理センター) は法改正によって2013年設立。
ギャンブル問題の予防と啓発、相談や回復サポートを行なっています。
Help Line 1336 を開設して相談対応を行なっています。相談者の4割が本人、6割が家族からで、
日本よりも本人申し出が多くて、依存症の啓発が進んでいるようです。

ギャンブル事業者から業務粗利益の0.5%の拠出を受けています。

センターの把握する賭博種別ごとの依存症者の状況

実に依存症者の3分の2が、オンラインカジノ由来です。

日本の従来型のギャンブル依存症対策で、オンラインカジノ対応は十分なのでしょうか?

オンラインカジノはスマホゲームとともに低年齢化します。
韓国では、小中学生には利用実態を悉皆調査しています。
オンラインゲームのIPアドレスへのアクセスが夜12時を過ぎると遮断する仕組みも導入されているそうです。

啓発ポスターは、こちらもわかりやすい。

ネット空間でクリックすると、ギャンブル依存の罠にハマるよといった趣旨でしょうか。
私がハングル文字が読めないだけに、イラストの啓発媒体の訴求力の強さを感じました。


今回の視察ツアーのアレンジは、4年前の視察と同じく


e-corporation廉 宗淳(ヨム ジョンスン)さん。
当方の希望を快く受け入れて視察先をセットしていただきました。
どうもありがとうございました。

ヨムさんの専門分野である電子政府の取り組みもあわせて視察した盛りだくさんな3日間でした。

電子政府編はまた後日ご報告します。