戸籍法の改正に伴う 戸籍振り仮名制度 の開始

戸籍振り仮名制度 行政書士業務のご紹介

2023年5月成立した戸籍法の改正により、戸籍に氏名の振り仮名が追加されるという、 戸籍振り仮名制度 が導入されます。この改正は、氏名の振り仮名(カタカナ表記)を戸籍に記載することを必須とするものです。これまで、戸籍には漢字の氏名のみが記載されていましたが、新たな制度により、読みやすさと明確性が向上し、行政手続きの効率化が期待されています。

戸籍振り仮名制度

戸籍振り仮名制度 とは?

振り仮名記載の流れ

新生児の場合、出生届に記載された振り仮名がそのまま戸籍に反映されることになります。一方で、すでに戸籍に登録されている人々に対しては、2025年7月(予定)までに自己申告することが求められます。この間に申告がなされない場合、市町村長は住民基本台帳に基づく振り仮名を戸籍に記載することができます。

振り仮名の基準

振り仮名には、「一般に認められている読み方」でなければならないという基準が設けられます。これには、漢字の意味や一般的な読みと反する振り仮名は許容されないことを意味しています。例えば、「高」を「ヒクシ」とするような読み仮名は認められません。また、誤読や一般的でない読み方についても同様です。

変更と届け出

既に戸籍に記載されている振り仮名の変更は、基本的に家庭裁判所の許可が必要とされますが、経過措置として一度だけ、許可なしに変更が可能です。この際の変更も「一般に認められる範囲内」で行う必要があります。

国際利用とマイナンバーカード

この改正は、マイナンバーカードの国際利用を見越して行われており、マイナンバーカードにローマ字表記を加える検討も進められています。

戸籍振り仮名制度 よくある質問

戸籍振り仮名制度についてのよくある質問を法務省のサイトを参考に以下記載します。

この制度はいつから始まりますか?

令和7年(2025年)5月頃を予定しています。

制度開始に当たって気をつけることはありますか?

既に他の行政手続等(パスポート等)において使用している氏名の振り仮名を確認しておきましょう。戸籍上の氏名の振り仮名と食い違うことがあると、不都合が生じる可能性があります。

戸籍の届出で氏名の読み方を記載して市区町村に届け出ていますが、新たに届出は必要ですか?

本制度の開始前までは、各市区町村において保有していたのは、氏名の「よみかた」であり、これは住民基本台帳事務の処理の便宜のために付けられたものでした。

本制度の開始後は、戸籍に記載されるものとして、別途氏名の振り仮名を届け出ていただく必要があります。

どうやって戸籍に氏名の振り仮名が記載されますか?

本制度の開始以後、出生や帰化等によって新たに戸籍が作成される方については、その際に届け出られる出生届や帰化届等の届出時に併せて振り仮名を届け出ることで記載されます。

本制度の開始時に既に戸籍に記載されている方については、届出をすることで記載されます。

届出に必要なものはなんですか?

必要事項を記入した届書(ただいま準備中です。)が必要です。

この際、氏名の振り仮名について、氏名の読み方として一般に認められているものでない読み方を用いている場合は、「読み方が通用していることを証する書面」として、当該読み方が使われていることを示す資料(パスポート、預貯金通帳、健康保険証等)を併せてご提出いただくことになります。

どこで届出することができますか?

氏名の振り仮名の届出をする方の本籍地又は住所地等に届出をすることができます。

市区町村の窓口や郵送による届出のほか、マイナポータルを利用したオンラインでの届出が可能となる予定です。

誰が届出をすることができますか?

名については各人が届け出ることができますが、氏については原則として戸籍の筆頭者が届出をすることができますので、配偶者などの在籍者と十分にご相談の上、届出をお願いいたします。

子ども(未成年者)の届出は誰がするのですか?

親権者が届出をすることとなります。

ただし、15歳に達した子については、子自身が届出をすることもできると考えられます。

届出を忘れた場合、どうなりますか?

本制度の開始後に遅滞なく本籍地の市区町村長から皆さんに郵送で、戸籍に記載される予定の氏名の振り仮名が通知されることになっています。

また、制度開始から1年の間に届出がなかった場合、本籍地の市区町村長によって、この通知に記載されている「戸籍に記載される予定の氏名の振り仮名」が戸籍に記載されることになります。

届出することができない振り仮名はありますか?

氏名の振り仮名については、「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」との規律が設けられました。

例えば、(1)漢字の持つ意味とは反対の意味による読み方(例:高をヒクシ) (2)読み違い、書き違いかどうか判然としない読み方(例:太郎をジロウ、サブロウ)、(3)漢字の意味や読み方との関連性をおよそ又は全く認めることができない読み方(例:太郎をジョージ、マイケル)など、社会を混乱させるものは認められないものと考えられます。

氏名の振り仮名が戸籍に記載された後、氏名の振り仮名を変更したい場合はどうするのですか?

(氏の振り仮名について)

やむを得ない事由によって氏の振り仮名を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者が、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならないものとされています。

(名の振り仮名について)

正当な事由によって名の振り仮名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならないものとされています。

なお、上記にかかわらず、制度開始から1年の間に振り仮名の届出がないことで、本籍地の市区町村長によって氏名の振り仮名が戸籍に記載された場合は、氏名の振り仮名について、1回に限り、家庭裁判所の許可を得ることなく届出のみで変更することが可能です。

振り仮名変更で別人格になれる?

改正戸籍法による氏名の振り仮名記載が可能になることで、特定のシステム上で振り仮名を基に管理されている債務者情報やブラックリストからの探知を遮断することが期待される側面もあります。これは、個人が振り仮名を変更できることにより、既存の記録と一致しなくなるため、個人が新たなスタートを切る上での障壁を低減できる可能性があります。

例えば、多重債務者が過去に使用していた振り仮名とは異なる振り仮名を届け出ることにより、信用情報機関のデータベースとの照合を回避し、新たな金融取引の機会を得ることが可能になる場合があります。これにより、経済的再生や社会的な再統合を促進する効果が期待されます。

ただし、このような制度の利用は、個人情報の誤用や不正利用を招くリスクも伴いますので、適切な管理と運用が求められます。振り仮名の変更には一定の制約を設け、基本的には家庭裁判所の許可が必要とされていますが、経過措置として一度だけ許可なしでの変更が可能です。このため、制度の適用に当たっては、正当な理由に基づく変更が行われるよう厳格な規制が必要とされるでしょう。

参考記事:顧問契約書を行政書士が作成します

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