社会福祉法人夢工房の不正にみる社会福祉行政のあり方

全国7都道府県で保育園や特別養護老人ホームなどを運営する社会福祉法人夢工房が、運営費約2,750万円を不正流用していた問題が今年6月に明らかになり、10月には第三者委員会が調査報告書を作成しています。


社会福祉法人夢工房は兵庫県姫路市に本拠をおきますが、大田区からも近い、横浜市、港区、目黒区でも保育園を運営しているため身近な話として、第三者委員会の調査報告書に目を通します。
保育園や老人ホームを経営する社会福祉法人が適正なのかチェックするヒントとして活用できるので、指摘事項の一部をまとめました。
調査報告書をベースにしております。)
保育園や老人ホームに勤務する方で、運営法人である社会福祉法人などに疑義を感じた人は、是非、各自治体や議員などへご相談ください。

港区高輪夢保育園
零歳児調理員加算等の補助金
他の保育園に勤務する職員の所属を偽装
8,756,820円
品川区立ひろまち保育園
開設準備委託契約の支出内容の水増し
保育材料費565万円のうち、100万円程度
消耗器具備品費370万円のうち、100万円程度
計200万円
姫路保育園
常勤施設長加算の補助金
理事長の母を常勤園長としていたものの、長期入院しており、基準を充足していない。
保育所地域活動事業
常勤施設長加算の補助金
保育所の地域活動のための経費補助事業がある。
ハロウィンやクリスマス関連の商品を購入したこととしているが、当該ブティックでは大人向けの商品しかなく、虚偽の領収書を提出したものと思われる。
研修旅費
海外渡航費
スペインでの環太平洋幼児教育学会に理事長と夫人(統括園長)が参加。
旅程にないドバイを訪問し滞在。
旅行代金は
1,403,860円
リゾートトラスト・エクシブ会員権「芦屋ベイコート倶楽部」
総額 36,360,257円
理事長の娘の引越費用
理事長の娘が婚姻により、同じマンションの別フロアに移転したことに対して、赴任手当を支給
233,955円
理事長の娘の家具購入
理事長の娘が婚姻により、同じマンションの別フロアに移転したことに対して、赴任手当を支給
2,100,720円
公用車両「レクサス」
理事長の娘が公用車両「レクサス」を独占使用
7,356,082円
理事長の娘への架空給与
理事長の娘へ、大学卒業以降4年間、勤務実態が無いにもかかわらず給与を支給
10,859,558円
理事長の息子への架空給与
理事長の息子へ、専門学校に通う2年間、勤務実態が無いにもかかわらず給与を支給
6,698,494円
理事長の妻の母への架空給与
理事長の妻の母へ、(平成22年4月以降)勤務実態が無いにもかかわらず給与を支給
12,523,182円
理事長の母への架空給与
理事長の母へ、体調不良により満足に勤務できないにもかかわらず給与を支給
(返還すべき金額)
25,656,231円
理事長の母の家政婦への架空給与
理事長の母の家政婦へ給与を支給
3,888,486円
理事長の娘の学費
理事長の娘の大学院の学費を負担。
(身内以外に同種の学費支払いの事実はない。)
1,059,000円
理事長の息子の学費
理事長の息子の専門学校の学費を負担。
(身内以外に同種の学費支払いの事実はない。)
2,916,400円
理事長のアダルト商品購入
20,000円

金額が示されているだけで、しめて1億2千万円の資金が理事長一家により私的流用されたことになります。

大胆というか、細かに、社会福祉法人の資金を我が家のものにせんとする理事長一家の執念が感じられます。
社会福祉法人は、オーナー企業ではありません。このような理事長一家の私服を肥やすための資金流用はあってはなりません。
資金流用ができるまでに儲かったのが、保育園・特別養護老人ホームなのですから、その利益創出に貢献してしまう自治体は、社会福祉法人の補助金執行に性悪説をもってのぞむべきです。

例えば、

  • 常設の管理者や調理師を配置すると補助金加算といった制度であれば、その人の勤務実態を正確に把握するべきです。
  • 領収書をかき集めて支給される補助金であれば、そうした子ども向けの商品が当該販売店で扱われる性質のものか意識するべきでしょう。
    それによって、補助金支給の手間ヒマがかさむでしょうから、補助金の数はシンプルにするべきでしょう。
    元来、補助金は業者の要求もあって数が増える構造もあります。
  • 後は、法人経理のチェック。
    今回の社会福祉法人の事業収入は約38億円(うち保育事業約33億円)、事業活動収支は約8億円で、利益率が22%
    理事長一家の私費を経費計上してもなお、利益が出る状況です。
    事業所単位は自治体が指導しますが、ここでは法人本体の指導は、兵庫県。
    兵庫県に全てを委ねるのではなく、法人が、法人の決算書を公開して、自治体、一般人、利用者、従業員の立場からも監視できるような状態を義務づけるべきです。
黒石誠 理事長は、不正発覚直前まで成功した保育園事業者として活躍されていたようなので、そのギャップに面喰らうところです。

  • 朝日新聞デジタル(2016.4.11)では、 
    『離職したいという若手職員から、こんな言葉をたびたび聞いてきた。「保育士はしんどい」「向いてないから、違う仕事に就きたい」』と記事になってます。
    経営者一族ばかり利益の恩恵に浴した、ブラック企業だなんて、言葉はさすがに直接は聞かなかったのでしょう。
  • huffpost(2013.11.22)では、
    「緊急シンポジウム 潜在保育士掘り起こしのための環境整備を考える」(主催:NPO法人福祉総合評価機構)において、
    「保育士には書類を書いたり、研究に当てたりする時間がない。1日8時間働く中で、6時間は保育にあたり、2時間は業務に就くことを認めてほしい。(略)PDCAをきちんと回せるようなマネジャー的な存在を育てることができるように、研修体制をとっていくべき。」などと。
    子どもの学費やらを法人に負担させて、園長の肩書と給料を病気で働いていない老母に与えているにもかかわらず。
  • 総合福祉研究会の全国大会で、
    パネリストの一人として、社会福祉法人の改革を語っています。
    評議員会の意義とか、会計監査を簡素化してほしいなどと。
    まだ若い息子を法人の評議員にして、様々な不正を監査ではスルーさせているにもかかわらず。
第三者委員会による従業員への調査では、
法人で応援している候補の選挙応援をさせられる。
政治投票行為への強要(投票画面を理事長に送らなければならなかった。)
といったこともあったそうです。
黒石誠 理事長が、応援した候補はだれなのでしょうか?
法人から政治家への寄付でもあれば、それがわかるのですが、
残念ながら、兵庫県選挙管理委員会は収支報告書を公開していないのでわからりません。
こうした問題のある社会福祉法人にどう対処すればよいのか、
長くなりましたので、
社会福祉法人の改革、ならぬ、解体をテーマに別のブログにまとめますので、ご一読ください。