大赤字覚悟の中央リニア新幹線を進める企業的意義とは?

JR東海が推進する中央リニア新幹線。
品川-名古屋間は2027年開業を目指して進めています。

JR東海主催の説明会に参加してきました

全体ではすでに工事がはじまっています。
工事の進捗については、JR東海のサイトで公開されています。

大深度地下を掘り進めて行くことについて
大深度地下使用の認可申請に関する説明会が大田区など地下を通過する自治体で開催されましたので、私も参加しました。
説明会では、リニア新幹線による影響を不安視した声が聞かれました。
騒音、振動、電磁波、地下水への影響、活断層、そもそもの事業採算など…

新しく中央リニア新幹線が整備されても、地下を通過される住民に直接の便益は認めがたいものです。
ただただ心配が尽きません。

リニア新幹線の事業採算について注目が集まります

10兆円ともいわれるメガプロジェクトを一民間企業が継続できるのか?
工事や運行の事故で大損害が発生した場合に、住民にも含めて補償する力がJR東海に備わっているのか?

国土交通省交通政策審議会 陸上交通分科会 鉄道部会
第9回中央新幹線小委員会(2010年10月20日)にて
リニア新幹線費用対効果分析を行なっています。
http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/tetsudo01_sg_000086.html

結論としての費用便益分析は

品川–名古屋間
5.5兆円の総費用で、8.4兆円の総便益(50年分の現在価値)

これだけみると
費用便益比 1.51
効果のある公共事業と評価できます。

でも
時間短縮などの利用者便益はあくまで利用者のものです。
JR東海の供給者の便益は3.2兆円
つまり

品川–名古屋間 5.5兆円の総費用で、3.2兆円の総便益であって、
2.3兆円のマイナス!!

単体での採算は追求しない。
説明会ではJR東海側は発言されてました。

なんのために費用便益分析を行なっているのか。
企業としての財務評価が欠落しています。

大赤字覚悟でメガプロジェクトに挑む民間企業?!

2.3兆円の大赤字プロジェクトであるリニア新幹線は、
東海地震など東海道新幹線の走行地域に存在する災害リスクへの備えとなる。
大動脈の二重系化により災害リスクに備える。

説明会ではJR東海側は発言されてました。

災害リスクに備えて、企業がその総資産を超える投資を行う必要が理解できません。

阪神大震災の山陽新幹線は甚大な被害を受けましたが、復旧費用は350億円であって、兆円の単位には及びません。
平成7年度鉄道白書より)

震災、震災とリスクを煽っての過剰投資もいかがなものかと。

大前研一氏も警鐘を鳴らしています。

結局は国民負担におちいるのでは・・・

リニア新幹線は民間企業の自己資本によるプロジェクトとの触れ込みでしたが、
JR東海は政府資金を調達しました。財政投融資を活用して、鉄道・運輸機構が中央リニア新幹線の建設に要する資金を貸し付ける制度が整えられ、
2017年7月に、3兆円の借入を実行しました。

大阪までリニア新幹線を伸ばしたい政治的な声で国民負担が発生しました。
BLOGOSサイトから一部をご紹介。

大阪選出の自民党議員 竹本直一さん

維新の代表だった橋下さんも

三重県知事 鈴木英敬さん

JR東海はこの3兆円の財政投融資で経営リスクを低減して、
経営の自由、投資の自主性を確保し、健全経営と安定配当を堅持するものとしています。

国土交通省交通政策審議会 陸上交通分科会 鉄道部会 中央新幹線小委員会の2011年の答申で、
リニア新幹線開業後のJR東海の収支計画を検証した結果は

http://www.mlit.go.jp/common/000144240.pdf
現状で5,000億円程度の経常利益水準を誇る優良企業ですが、
企業の収益性もただただ低下します。

株主価値の毀損も心配されます。

工事はまだ始まったばかりです。
事業中止の判断もまだできるはずです。